福島大が昨年7月に設立した環境放射能研究所の拠点となる分析棟は3日、開所した。施設内の研究設備が報道陣に公開された。
分析棟は2階建て延べ床面積1400平方メートル。文部科学省の国立大改革強化推進補助金を活用し、総事業費は約18億円。建物は8月に完成し、部分的に研究を開始していたが設備機器がそろい、本格的な稼働が始まった。
1階は分析試料の前処理、検体の採取のフロアと放射性物質の検出機器を配置したフロアに分かれる。一度に50サンプルを検査できる放射線検出器「サンプルチェンジャー付Ge(ゲルマニウム)半導体検出器」や自然界の微量な放射線を検出できる「低バックグラウンドGe半導体検出器」、300万倍の倍率の「電界放出型透過型電子顕微鏡」などを備えている。
2階は多種多様な分析機器を設置し、さまざまな実験を行う。チェルノブイリ原発事故による影響などを調査している海外からの専門家を含め、国内の農業、環境、森林、海洋などの研究者が15人程度常勤する。
同研究所の高瀬つぎ子特任准教授は「放射性物質の動態を学術的に明らかにすることで、将来的に本県の復興につなげることが目標」と話した。
分析棟の開所式は同日、現地で行われ、福島大の中井勝己学長、千葉悦子副学長、環境放射能研究所の高橋隆行所長、塚田祥文教授がテープカットした。
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