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記者が歩く福島の今 南相馬の特定避難勧奨地点 線量不安、将来像描けず

除染を終えた高倉公会堂。空間放射線量は毎時0.267マイクロシーベルトだった=4日

 南相馬市原町区西部の高倉地区。集会所に設置されたモニタリングポストは4日、毎時0・267マイクロシーベルトを表示していた。国が当初、除染の長期目標とした毎時0・23マイクロシーベルト(年間追加被ばく線量1ミリシーベルト)とほぼ同水準。だが、約80世帯ある地域に人影はまばらだった。放射線量が局所的に高いホットスポットが点在し、約半数の35世帯は政府の「特定避難勧奨地点」に指定されている。

 佐藤勝治さん(79)の自宅は平成23年7月に指定を受けた。現在も妻の厚子さんと市内の仮設住宅で避難生活を続けている。自宅庭先(高さ1メートル)の空間放射線量は23年11月、毎時2・7マイクロシーベルトあった。除染で庭先の土を剥ぎ、新しい砂利を敷いた。持参した線量計で測定すると、玄関前の空間放射線量は約1メートルの高さで毎時0・23マイクロシーベルトまで下がっていた。

 一方、除染していない自宅前の畑は毎時0・88マイクロシーベルト。周囲には除染の見通しが立たない山里が広がる。佐藤さんは「除染を終えたのは自宅周囲のみ。庭先から一歩出ると、線量はまだ高い」と不安を抱く。

 特定避難勧奨地点は原発周辺の避難区域以外で、年間積算線量が20ミリシーベルトを超えると推定される地点。南相馬市は原町区と鹿島区の152世帯が指定を受けた。同じく指定された伊達市と川内村は24年12月に解除されたが、除染が遅れた南相馬市は継続されたままだ。

 政府が今夏に実施した放射線量の調査では、平均が毎時0・4マイクロシーベルト、最高値が同1・08マイクロシーベルトだった。最高値でも年間積算線量は5ミリシーベルト程度で、20ミリシーベルトを下回った。政府は一時、10月中の解除を目指したが、敷地周辺などにホットスポットがあるとして、住民団体が反発。政府は方針を転換し、解除時期を延期した。

 「自宅に戻りたいが、まだ戻れる状況にない」と佐藤さん。解除されたとしても、線量に不安を抱く子ども世帯の帰還が見通せず、「地域の将来像は描けない」という。さらに、勧奨地点の指定は高校生以下の子どもや妊婦がいる世帯だったため、市内では「同じ線量なのに、指定されず支援を受けられない」と不平等を訴える声も聞かれた。地域コミュニティーをどのように維持していくのか。線量低減に加え、地域再生に向けた課題は山積している。(本社整理部・半沢正輝)

カテゴリー:震災から3年9カ月

自宅周辺の状況を語る佐藤さん(左)。右は半沢記者

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