東日本大震災アーカイブ

「風評払拭」 正しい情報提供 全国各地で展開

就任後初のトップセールスで来場者にコメをプレゼントする内堀知事(左)=5日

 本県農林水産物の風評払拭(ふっしょく)に向け、県は全国各地で安全性をアピールしている。

 県は平成26年度、販売力強化事業として約18億円を投入する。県内をはじめ首都圏、北海道、東海、関西などで県産農林水産物の検査体制をPRしている。

 さらに、首都圏などのマスコミ関係者を対象にしたメディアツアーを企画した。生産現場や放射性物質検査体制を直接見てもらい、正しい情報発信につなげてもらう。

 内堀雅雄知事は5日、就任後初のトップセールスを東京・日本橋の県の首都圏情報発信拠点「日本橋ふくしま館 MIDETTE(ミデッテ)」で実施した。県産米をPRし、「本県産の新米のおいしさを知ってもらいたい。福島に来て、見て、食べて、笑顔になって」と呼び掛けた。

■同志社 県と協定 研究や交流促進

 同志社大を運営する学校法人同志社(京都市)は平成25年1月、復興支援を目的に、県と包括連携協定を結んだ。本県出身の新島八重と兄の山本覚馬が、同志社大創立に貢献したのを縁に、協力態勢ができた。同志社は、知的、人的、物的資源を活用し、本県復興につなげる。

 原発事故による西日本での風評被害対策の研究を進めているほか、本県での定期的な学生研修を繰り広げている。関西方面の避難者を対象にした京都周辺のツアー企画や、復興支援募金も積極的に展開している。

■教育旅行大幅に減少

 原発事故の影響で、本県への教育旅行も大幅に減少した。

 平成22年度に約67万4千人だった本県への教育旅行は23年度に約13万2400人と5分の1になった。24年度は約24万人、25年度は約31万8千人と徐々に持ち直したが、震災前の半分以下にとどまっている。

 県は本県への教育旅行を通し、震災、原発事故からの復興に向けて歩む県民の姿、風評克服に向けた取り組み、新たな防災体制に触れることで、子どもたちが「生きる力」を身に付ける機会と位置づける。自然、文化、歴史に加え、こうした内容を教育旅行のメニューに追加し、県外の学校関係者らに売り込んでいる。県観光交流課の島田淳課長は「正しい情報発信に加え、教育旅行のコンテンツ充実に努めたい」と話している。

■海外では輸入規制も

 原発事故により、海外の各国・地域で本県産の食品に対する輸入停止などの規制措置が続いている。

 原発事故の発生前まで県産食品の主要な輸出先だった香港は、県産の野菜と果実、牛乳、乳飲料、粉ミルクの輸入を停止し、タマゴを含む食肉と水産物は政府作成の放射性物質検査証明書を要求している。台湾は酒類を除く全ての食品を輸入停止としている。

 韓国はホウレンソウ、カブ、ウメ、コメ、原乳など、中国は全ての食品と飼料の輸入を停止している。

 県は野菜や果物などの輸入停止措置を解除した国への輸出を推進し、県産食品の販路拡大に努めている。県県産品振興戦略課は「青果物に加え、コメや肉類、酒類なども幅広く輸出できるよう取り組む」としている。

カテゴリー:震災から3年9カ月