東日本大震災アーカイブ

【県民の健康維持】甲状腺検査 医療費無料化 長期的な財源確保課題

 県は原発事故発生後、18歳以下の医療費を無料にしているが、19歳以上になった甲状腺検査受診者の医療費負担が課題だ。超音波を使った一次検査、詳細な二次検査の個人負担はないが、経過観察などで通常診療(保険診療)に移行した人は19歳以上になれば原則として受診者負担だ。

 県は甲状腺検査を受け通常診療に移行した際の医療費は、原発事故がなければ発生しなかったとして、経済的負担を解消するよう国に財政措置を求めている。県の財源が潤沢ではないためだ。しかし、国から現時点で明確な回答はない。

 県幹部は「医療費負担を理由に、継続的な受診を断念する県民が出かねない」と懸念している。

 県が26年度に46億円を投じる18歳以下の医療費無料化は、国の交付金や東電の寄付金などで造成した「県民健康管理基金」を財源とする。26年度末の基金残額は813億円となる見込みだ。

 この基金からは甲状腺検査などを含む県民健康調査に26年度は63億円が使われる。さらに、28年度に全面稼働予定のふくしま国際医療科学センターの講座設置費や運営費などにも取り崩される予定だ。将来的な財源の枯渇に県は危機感を抱いている。

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