東日本大震災アーカイブ

福島第一原発の廃炉作業3日に再開

 東京電力は2日、福島第一、第二原発で労災死亡事故が相次いだ問題で、安全点検のために中断していた第一原発の作業を3日に再開すると発表した。約2週間作業を中断したため、手順などの見直しにより汚染水対策の柱となる凍土遮水壁の工事を含め、半月から1カ月程度遅れるとの見通しも示した。
 労災死亡事故を受けて第一原発は1月21日以降、汚染水の処理などを除くほとんどの廃炉作業を中断した。東電原子力・立地本部長の姉川尚史常務が同31日、各工事の点検状況を視察。点検対象となった436件の作業のうち、392件で作業環境の改善を確認したとして、3号機海側トレンチの埋め立て作業などの再開を決定した。
 原子炉建屋への地下水流入を防ぐ凍土遮水壁の運用は3月の開始を予定している。2日の臨時会見で、東電福島第一廃炉推進カンパニーの増田尚宏代表は「全体的に作業工程が遅れる見通しだが、具体的な作業への影響は今後精査していく」と述べるにとどまった。
 第一原発は1月19日、男性作業員が地上タンクの点検作業中に約10メートルの高さの天板部から落下し、翌20日に死亡した。第二原発でも同20日、作業員が機具に頭を挟まれ死亡した。

カテゴリー:福島第一原発事故