東日本大震災アーカイブ

5キロ圏の「防護措置準備区域」 福島第一原発で設定せず

 原子力規制委員会は、東京電力福島第一原発周辺の災害対策を取る「原子力災害対策重点区域」に関連し、他の原発で定めている半径5キロ圏の「予防的防護措置を準備する区域(PAZ)」を設定しない方針を固めた。甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤の備蓄も不要とした。規制委の原子力災害事前対策に関する検討会が2日、都内で開かれ、原子力規制庁が示した案を了承した。
 原子力災害対策指針では、原発から半径30キロ圏を原子力災害対策重点区域として避難計画策定などの対策を講じるとともに、半径5キロ圏はPAZとして放射性物質放出前の避難や避難準備をするとしている。福島第一原発は、重点区域を半径30キロ圏とした一方で、廃炉作業中に住民に影響を及ぼす事態が発生する可能性は極めて低いと判断し、PAZを定める必要はないとした。
 また、第一原発では原子炉などに放射性ヨウ素がほとんど残っていないと試算しており、安定ヨウ素剤の事前配布や備蓄は不要とした。検討会で、規制委の更田豊志委員が「安定ヨウ素剤の備蓄や事前配布の態勢整備は現実的ではない」と述べ、出席した有識者が同意した。案では、第一原発の敷地周辺で放射線量が過去3カ月の平均線量から毎時5マイクロシーベルト上昇した場合などに避難住民の一時立ち入りを中止し退去するとしている。避難区域外の半径30キロ圏は、屋内退避を進める。
 規制庁などは今後、今回了承を得た案について、県や関係市町村に説明する。今春にも改定する原子力災害対策指針に反映させる。

カテゴリー:福島第一原発事故