東日本大震災アーカイブ

東電が和解案ほぼ受諾 南相馬住民の財物賠償ADR 隣接世帯分は拒否

 東京電力福島第一原発事故に伴う南相馬市の旧特定避難勧奨地点の住民らが東電に財物賠償などを求め、原子力損害賠償紛争解決センターが賠償総額約4億3200万円の和解案を提示した裁判外紛争解決手続き(ADR)で、東電側は2日までに和解案をほぼ受け入れる回答をセンターに提出した。ただ、東電が同地点の隣接住民の財物賠償は拒否したため、弁護団は隣接住民の財物賠償も認めさせるようセンターに申し入れた。
 弁護団や東電の回答書によると、東電側はADRを申し立てた11世帯の土地、建物などの財物賠償について、同地点に指定されている10世帯分は受諾したが、隣接する1世帯については「地点に設定されておらず、支払うに足りる事情がない」として受諾を拒否している。精神的賠償については全世帯に支払うとした。
 東電が和解案を一部受諾したことで、他の同地点住民からADR申し立ての動きが起こることが想定される。東電は回答書の中で、「本件については各世帯の個別事情を基に慎重に検討した結果。本件以外の特定避難勧奨地点世帯に関して一律に同様の対応を行うことを認めるものではない」としている。
 同市の特定避難勧奨地点(142地点、152世帯)は昨年12月28日に解除されている。

カテゴリー:福島第一原発事故