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仮設入居依然1万2171戸 県内 長期化、不安への対応急務

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故に伴う県内の仮設住宅1万6607戸のうち、依然として4分の3に上る1万2171戸で避難者が暮らす。入居者からは防犯対策や建物の修繕など多様な訴えが出ている。県は相談員の増員や点検体制の充実などで対応する。災害公営住宅整備の遅れなどで避難生活が長期化する中、いかに早く個別の不安に応じられるかが問われている。

■変化
 県によると、入居戸数はピーク時(平成25年4月現在)の1万4590戸から今年1月30日現在までに2419戸減り、4436戸が空き室となっている。自宅を再建したり、アパートを見つけて移り住んだりする入居者が出ているためだ。空き室の増加により、仮設住宅で生活している避難者の要望が変わってきている。
 富岡町の避難指示解除準備区域から避難し郡山市の富田町若宮前仮設住宅で暮らしている川端英隆さん(39)は「空き室には鍵が掛かっているが、いつ不審者が侵入するか分からない」と不安を口にし、空き室の増加に伴う防犯対策を望む。
 せっかくできた住民同士のコミュニティーの維持も気掛かりになっている。「住民の交流を深めるためにも、空き室を住民が気軽に集える場所として開放する手もある」と提案した。
 仮設住宅の老朽化も進んでいる。「仮設の建物やエアコンなどの設備は、どうしても傷みが目立ってくる」。南相馬市鹿島区の自宅が津波で全壊し、同区の角川原仮設住宅に入居して間もなく4年を迎える幾世橋初男さん(66)は対策の必要性を訴えた。

■倍増
 県は被災者の避難長期化に伴う対応を始める。27年度、仮設住宅や借り上げ住宅で見守り活動を展開する生活支援相談員を現在の約200人から400人に増やす。悩みや要望を丁寧に吸い上げ、異変はないかを確かめる。部屋にこもりがちになる1人暮らしの高齢者らにとっては「命綱」の役割を果たすとしている。
 老朽化対策として、県は年1回の一斉点検などを通して修繕してきた。27年度からは入居者の要望に応じて建物を修繕する際、これまで目視を中心とした点検に加え、専用の器具で点検箇所を直接調べるなどし、目視で気付かなかった傷んだ部分を見つける。
 県建築住宅課は「入居者に安心して過ごしてもらうため、点検項目も拡充させたい」としている。ただ、年1回の一斉点検は変わらず、1万6000戸余りの要望に応え切れるかは見通せない。

■再編
 災害公営住宅の建設が進んでいる相馬市と新地町は津波被災者向けの仮設住宅の再編を検討している。このうち、相馬市は1000戸の仮設住宅の再編、撤去に向けた協議を続ける。相馬市で再編対象となる仮設住宅の入居者の中に高齢者や生活困窮者もいるとみており、それぞれの生活に合わせた支援が求められている。
 相馬市仮設住宅組長会長の小幡靖夫さん(67)は仮設住宅再編の検討委員会で委員を務めている。「入居者の経済状況などに応じた支援策は重要だ。再編をきっかけに、入居者の住宅の再建が進めば」と期待を込める。
 一方、県は避難者の住宅再建を後押しするため、27年度、仮設住宅の解体に伴って発生する資材を、被災者の住宅建築材料として提供する方針。今後、提供対象者や対象となる資材、移設などに伴う費用の負担などを検討する。

【背景】
 災害救助法は仮設住宅の入居を原則2年以内と定めているが、用地確保難航や資材、作業員の不足などにより自宅の建築を望む被災者の住宅再建が遅れている。県はこれまで入居期間を3回延長した。現在は平成28年3月末まで。県は当初仮設住宅を1万6800戸造った。棟全体が空き室となった仮設住宅の用地を災害公営住宅などの建設に活用するため昨年6月から順次、仮設住宅の撤去に着手。14日現在、大玉村などの193戸を解体、撤去した。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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