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福島をつくる(30) 第2部 スポーツの力 東邦銀行陸上部(陸上競技)

昨年6月の日本選手権で横断幕を掲げて応援した東邦銀行の行員ら

<活躍通じ福島を発信>
 「第6レーンの吉田選手は地元・東邦銀行の選手です」。昨年6月、本県で初めて福島市のとうほう・みんなのスタジアム(あづま陸上競技場)で開かれた日本陸上選手権。3日間で延べ約3万3000人の観客が訪れ、雨の中で声援を送った。場内アナウンスにスタンドが沸き、陸上部の主将だった吉田真希子(38)=同部コーチ=は女子400メートル障害で5年ぶりに予選を突破した。
 日本選手権は20回目の出場だったが、本県開催で名前がさらに知れ渡る。トレーニングウエアで市役所を訪れた際は「東邦銀行の選手ですよね」と来庁者に声を掛けられた。休日に街を歩くと、同年代の女性から「私も運動を始めました」と言われた。「スポーツ選手は地域を盛り上げる存在だ」。あらためて感じた。

 行員にも応援の輪が広がっている。日本選手権の期間中、行員は大きな横断幕を掲げ、陸上部の選手を激励した。「大会を見に行ったよ」「陸上っておもしろいね。頑張って」。同じ職場の仲間として選手を励ます。選手にとって身近なファンは練習意欲をさらに高める。
 銀行も選手活動を全面的に支える。毎年年末から4月にかけて沖縄、米国で行う合宿費、各地の大会遠征費を負担している。
 陸上部で部長代理を務める同行人事部厚生課長の岩橋謙治(47)は「銀行全体で選手を押し上げる雰囲気になっている」と自負する。さらに「県民に喜んでもらうには何より結果が大事になる。そのために協力を惜しまない」と強化費が地域貢献につながっていると強調する。

 一流の選手が所属する県内の企業は平成7年のふくしま国体開催時と比べ減っている。「大学卒業後に競技者の受け皿があるのはありがたい」。東邦銀行と福島大の両陸上部監督を務める川本和久(57)は選手に代わり感謝する。まずは選手が好成績を残す。そして「福島にあるチームの勝利を喜んでもらえればうれしい」と語る。
 川本は「福島=放射能」という印象をいまだに持たれる現状に憤りさえ覚える。陸上競技を通して福島を世界に発信する責任を感じている。「だからこそ一流選手を育てたい」。東日本大震災、東京電力福島第一原発事故を経験した子どもを、誰もが憧れる競技者として世界に送り出す夢がある。
 「福島から世界へ」。拠点となる東邦勢の躍進に情熱を傾ける。(文中敬称略)

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