東日本大震災アーカイブ

復興祈り気さくに交流 ウィリアム王子

訪れた運動施設で、子どもたちにボールのジャグリングを披露する英国のウィリアム王子(手前右)と驚いた表情を見せる安倍首相=28日午後、本宮市(代表撮影)

 この木が子どもたちと一緒に大きく成長するよう願う-。東京電力福島第一原発事故に伴い整備された本宮市の子ども向け屋内・屋外遊び場「スマイルキッズパーク」で記念植樹した英国のウィリアム王子(32)。本県の復興を願い、未来を担う子どもたちと気さくに交流し勇気づける姿に、笑顔と感動が広がった。

■植樹

 「この木がどの木よりも大きくなるといいね。見守ってください。ぜひ報告してください」
 ウィリアム王子は東日本大震災と原発事故からの復興への祈りを込めた記念植樹で、オーク(ヨーロッパナラ)を一緒に植えた本宮市白岩の橘明香さん(37)、次男雅翔君(11)=白岩小5年=、長女結花さん(10)=同小4年=に語り掛けた。王位を継ぐ順位は父チャールズ皇太子に継ぐ第2位。王子は気さくに「寒い中、待っててくれてありがとう」と橘さん親子を気遣った。
 王子に白い手袋を手渡した雅翔君は「緊張したけど、とても優しかった」と喜んだ。故ダイアナ元妃の長男で、英国で絶大な人気を誇る王子に間近で接した結花さんは「格好良かった」とはにかんだ。
 植樹した屋外遊び場は、原発事故により屋外で遊ぶ機会が減っている子どもの運動不足を解消しようと市が整備した。橘さん親子は昨年12月の開所以来、何度も遊びに訪れている。母の明香さんは「今ではこうして屋外で元気に遊べるようになった。福島が復興する姿を王子に見てもらえて良かった」と話した。
 記念植樹で安倍晋三首相は日本を象徴するソメイヨシノ、内堀雅雄知事は県の木・ケヤキ、高松義行本宮市長は市の木・マユミを市内在住の親子と一緒に植えた。

■交流

 屋内遊び場を見学したウィリアム王子は色とりどりのボールで満たされたボールプールに入り、子どもに名前や年齢などを尋ね、握手を交わした。
 本宮市の宗像美羽ちゃん(5つ)が「はい」とボールを手渡すと、王子は日本のお手玉のようにジャグリングをして見せ、室内は大きな拍手と歓声に包まれた。
 屋外遊び場の跳躍器具で遊んでいた同市の渡辺友美さん(9つ)=和田小3年=も王子に握手を求められた。「この右手はしばらくお風呂で洗わない。勇気と元気をもらったので漢字の勉強を頑張りたい」と話した。

■歓迎

 「スマイルキッズパーク」近くの沿道には大勢の市民らが詰め掛けた。午後3時40分、ウィリアム王子を乗せた英国車が着くと、歓声とともに英国と日本の小旗が揺れた。
 二本松市の熊谷杏夢ちゃん(5つ)はキッズパーク前で、王子とキャサリン妃、長男ジョージ王子の似顔絵を描いた絵手紙を手渡した。「ロイヤルベビー」の誕生を祝う突然の贈り物に王子は191センチの長身をかがめて日本語で「ありがとう」と応じた。母の麻由美さん(36)は「まさか受け取ってもらえるとは思わなかった」と言葉を詰まらせた。
 本宮市の無職渡辺晃一さん(69)・慶子さん(68)夫婦は王子の敬称を記した横断幕を掲げ、王子が乗った車に盛んに手を振った。震災で自宅が半壊したという晃一さんは「心から感謝の気持ちを伝えたかった」と語った。
 王子が新幹線で降りたJR郡山駅前でも人の輪ができた。郡山市の主婦村上久美子さん(42)は「本県は明るく元気に暮らしている。全世界に発信していただきたい」と話した。


■夕食会、福島牛など堪能

 郡山市の磐梯熱海温泉「四季彩一力」で開かれた歓迎夕食会には、県内各地の食材を用いた和食が提供された。県内酒蔵の日本酒も堪能した。
 安倍首相と王子は共に浴衣姿となり、リラックスした様子。首相は「福島の食材を味わっていただくことは福島が苦しんでいる風評を払拭(ふっしょく)する上で大きな力になる」と強調。王子は「伝統的な日本食の夕食会は訪日の一つのハイライトだ」と述べた。タラの天ぷらや福島牛のしゃぶしゃぶ、地元野菜などを味わった。内堀雅雄知事が同席した。