来県した安倍晋三首相は28日、郡山市喜久田町の県営災害公営住宅「東原団地」を視察し、入居している大熊町民と意見交換した。安倍首相は「災害公営住宅への入居は復興の新たなステージになる」と強調した上で、「住まいや仕事(の確保)とともに、心身のケアにも力を入れる」と語った。
集会所で開かれた意見交換には町民6人が出席した。入居者を代表し、山口裕さん(72)が「今も古里の喪失感があるが、(入居を機に)和やかなコミュニティーをつくり、明日への活力を高めたい」と思いを明かした。他の出席者も「先を考えてばかりいても仕方がない。団地で交流を深め、笑顔で暮らしたい」と話した。
安倍首相は「古里に帰りたいと願う気持ち、新しい絆ができるだろうかという不安もあるでしょう」と述べ、避難者支援に全力を尽くす考えを示した。1日の常磐自動車道全線開通にも触れ、「世界から多くの人が訪れ、東北の素晴らしさを満喫してもらうことで、復興の弾みにしたい」と力を込めた。
意見交換には竹下亘復興相と浜田昌良復興副大臣、内堀雅雄知事、渡辺利綱大熊町長、品川萬里(まさと)郡山市長も出席した。同団地は昨年12月に完成し、今年1月に入居が始まった。
首相は1日、全線開通する常磐自動車道の開通セレモニーに出席した後、双葉町役場の屋上から除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設の建設予定地を視察する。
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