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【県内の仮設住宅(上)】空き室3割超える 高齢者に孤立感 緊急時の対策求める

入居者が減った名簿を眺める東部公園仮設住宅自治会長の山本さん

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から5年目を迎えた県内の仮設住宅で、約5000戸が空き室となり、全戸数の3割を超えたことが県のまとめで分かった。入居者は、住民の減少と高齢化による自治機能の低下や生活を送る上での不安、孤立感を訴える。国や県は平成28年3月末の入居期限の延長に向けた協議を進めているが、延長に伴い孤独死などの問題に拍車が掛かる懸念もある。住民から対策強化を求める声が上がる。

■2週間に1回
 県内には震災発生後に1万6800戸の仮設住宅が造られ、これまでに193戸が撤去された。4月末現在で、約3割に当たる4993戸が空き室となった。
 大熊町民向けの会津若松市の東部公園仮設住宅(50戸)は当初はほぼ満室だった。古里に近い、いわき市や県中心部の郡山市に新居を求めるなどして転居が進み、現在は約3割の16世帯が住むのみ。26日にも1世帯が引っ越す。
 自治会長の山本進彦さん(72)によると、仮設住宅に残る住民は大半が60代以上で、多くは災害公営住宅への入居を待つ。町社会福祉協議会の生活支援相談員の訪問は2週間に1回程度。孤独死の防止に向けて入居者同士の安否確認が大切になるが、年配者が多く、緊急時の対応にも不安が残るという。山本さんは「夜間に心細くなると訴える人もいる。広い団地を自分1人で見回るのは難しい」と悩む。

■人手不足
 二本松市にある浪江町の仮設住宅11カ所のうち、戸数が最も少ない建設技術学院跡仮設住宅は19戸に25人が暮らしている。自治会長を務める鎌田優(まさる)さん(68)は「最初は、にぎやかで人手に困らなかった。今は草刈りさえも困難」と明かす。
 入居者は全員が60代以上だ。安否確認を兼ねた音楽や手芸の会を開いているが、避難の長期化で体調を崩し、入院する人もいる。住民の4分の1が1人暮らしで、孤独死も懸念される。入居する女性(70)は「避難から4年が過ぎて気力が衰えた。引っ越して人間関係を築き直すと考えると、気が重い」と訴える。

■ためらい
 原発事故による避難指示が解除されたり、解除を検討していたりする市町村でも、それぞれの事情から仮設住宅にとどまる人々は少なくない。
 川内村の旧避難指示解除準備区域から郡山市の富田町稲川原仮設住宅に避難している遠藤ヤイ子さん(67)は「郡山市には病院や商店などが多く、生活しやすい」という。さらに帰村すれば、同じ市内に避難している娘夫婦と遠くなり、通院の送迎をしてもらうなど、何かあればすぐに助けてもらえる安心感がなくなる。
 双葉郡からの避難者向けの仮設住宅が集中しているいわき市には、楢葉町民約1100世帯が13カ所で暮らす。入居者数に大きな変動はなく、現在も全体の約8割が利用されている。
 町内では4月から最長3カ月間、帰還に向けた準備宿泊が始まった。ある仮設住宅の女性(70)は「自宅は無事だが、医療機関や買い物先などの環境が以前とは違う。寝泊まりできても戻ろうという気になれない」と、帰りたくても帰れない心境を明かした。

【背景】
 県によると、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故に伴う仮設住宅は、県内各地に1万6800戸整備された。完成戸数から入居戸数を引いた空き室の割合は平成24年4月末で15.7%、25年4月末で13.2%。26年4月末は19.2%だった。27年4月末では、撤去済みの193戸を除く1万6607戸のうち、4993戸で入居者がおらず、割合は30.1%になった。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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