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福島をつくる(48) 第4部 六次産業化 いわき協議会(いわき)

キリンがいわき6次化協議会に支援金を贈った贈呈式。前列左端が萩、同中央が白石=今年2月

<「知産知消」で未来像>
 いわき市の若手農業者らは昨年12月、任意団体としていわき6次化(6次産業化)協議会を発足させた。「安全、安心だけの発信では足りない」「地元の農産物が持つ本来の魅力を伝える必要がある」...。キリンCSV推進部絆づくり推進室の古賀朗(56)はメンバーの議論を聞き、農業発展の可能性を感じた。「福島の厳しい状況を行動力で乗り越えようとしている」
 キリンは、東日本大震災の復興支援に継続的に取り組もうと3年間で約60億円の拠出を決め、平成23年7月から被災地の支援を続けていた。今年2月、協議会への3000万円の助成を決めた。古賀は「若者が作った加工品が飲食店で提供され、多くの人がビールを飲みながら笑顔になる光景が見たい」と願う。

 協議会は5月18日、一般社団法人の設立総会を開き、名実ともに6次化を担う団体として歩み出した。現在、キリンの助成金で、いわき市のHagiフランス料理店オーナーシェフの萩春朋(39)のレストランに加工所を整備している。
 一般的に、加工所にドレッシングなどを発注する場合、1万本や5000本などの単位で注文する必要がある。少量では加工所側の利益につながらないためだ。しかし、発注側は売れ残る危険性を背負う。
 協議会は、10本などの少量から生産できる仕組みをつくる。大小計約15台の加工機械を取り入れ、ジャムやドレッシングをはじめ、レトルトパックや缶詰など多彩な加工品作りを目指している。試作にも使えるため、新製品を研究できる拠点にもなる。「生産者が切磋琢磨(せっさたくま)しながら勉強し、互いに協力して優れた加工品を作っていきたい」。萩は農業者の「寺子屋」にしたいと考えている。

 「地産地消よりも一歩進めて、これからは知産知消に取り組む必要がある」。萩と一緒に加工品生産に取り組んできた市内小川町のファーム白石代表の白石長利(34)は農業の未来像を描く。
 知産知消とは、生産者が消費者を知り、消費者も生産者を知るという意味だ。生産者が真面目に安心、安全を追求している農業の現状を消費者に公開する。そして消費者が何を求めているかを知り、どのように食べてもらいたいのかを丁寧に伝えていく-。震災と原発事故の苦難の中で見いだした白石の1つの答えだ。
 「大きな被害を受けた浜通りだからこそ生産できる加工品を作り、今までにない農業を進めたい」。白石らの挑戦が続く。
 郡山市でも企業の支援を受け、果樹農業の6次化プロジェクトが動きだした。(文中敬称略)

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