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「賠償の底流-東京電力福島第一原発事故」アーカイブ

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第4部 精神的損害(24) 避難指示解除が鍵 生活環境の整備必要

自民党東日本大震災復興加速化本部が設置されている東京・永田町の党本部

 「遅くとも事故から6年後までに避難指示解除を実現できるよう、環境整備を加速する」。6月12日に首相官邸で開かれた政府の東京電力福島第一原発事故からの復興指針改定に向けた会議で、安倍晋三首相は関係閣僚に指示した。
 政府は原発事故による居住制限、避難指示解除準備両区域の精神的損害賠償について、平成30年3月まで支払う方針を決めた。これは1年前の29年3月(28年度末)までに両区域の避難指示を解除することが前提となる。解除が遅れると、政府・与党の描くビジョンは崩壊しかねない。安倍首相の言葉には、政府としての不退転の決意がにじむ。

 28年度末には両区域の国直轄除染が完了している予定だ。政府・与党はこの時期に避難指示解除の照準を定めた。空間放射線量の低下後は速やかに住民の帰還を促し、復興を加速させたいとの狙いがある。
 自民党の東日本大震災復興加速化本部に所属する複数の国会議員は「解除の目標時期を明確にしたことで、復興の足どりは強まるはず」と口をそろえる。賠償などの対応に一定の区切りを付け、被災者の「自立」を促す側面もあるという。「いつまでも賠償金に頼っていては、本当の復興には至らない。住民にも自立して生きていく覚悟を持たせるべきだ」。第5次提言の取りまとめに向けた議論を進める中で、党幹部は本県選出国会議員に理解を求めた。

 ただ、28年度末とした避難指示解除時期まで1年8カ月余しかない。解除の実現には除染の完了、社会基盤の復旧、医療や買い物をはじめとした生活環境確保など住民帰還の必須項目を短期間で整える必要がある。
 政府・与党は27、28年度に住民帰還や事業再建のために集中的な支援策を展開する方針を掲げたが、現時点で効果は未知数だ。避難区域を抱える市町村関係者からは「現実を無視した対応」「解除ありき」などと反発の声が出ている。
 「批判は覚悟している。一歩踏み込むことが被災者のためになる」。復興加速化本部の井上信治事務局長(45)=衆院東京25区=は信念を語る。
 原発事故後に環境副大臣として何度も本県に足を運んだ。被災地の実情を理解する1人として、第5次提言の取りまとめに奔走した。提言には、被災者に古里に帰ってもらえるよう支援する決意を込めたと自負している。「29年3月までの避難指示解除は不可能ではない」と言う。政府決定の意味は重い。

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