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【災害公営住宅】全用地確保見通し 応募低調地区は見直し検討

 東京電力福島第一原発事故に伴う災害公営住宅の整備で、用地取得が遅れていた369戸全てで用地確保の見通しがついたことが5日、分かった。平成29年度末までに4890戸を造る計画は前進する格好だが、完成した住宅のうち、定員に満たない地域が出るなど避難者の希望とのずれも生じている。県は応募が低調な地域の計画を見直し、より実態に即した住宅整備とする方針。

■取得難航
 これまで確保できていなかった用地は、いわき市の296戸、広野町の58戸、会津若松市の15戸。団地造成にはまとまった面積が必要だが、地権者が県外に住んでいたり、土地所有者の相続手続きが済んでいなかったりと合意を得るのに時間を要した。
 特に避難者の入居希望が多い、いわき市では建設候補地となる公有地の多くに既に仮設住宅が建てられている。造成しやすい平地など好条件の民有地は東日本大震災と原発事故に伴う宅地需要増で数が限られた。地価も上昇し、取得が困難になっていた。

■人手不足深刻
 県は当初、平成28年度末までに全ての災害公営住宅を整備する計画だったが、用地交渉の難航などから完了時期を1年先延ばしした。
 しかし、完成したのは7月末現在、647戸で、計画全体の13.2%にとどまる。計画達成には今後の約2年半で、これまでの実績の7倍近い4243戸を完成させなければならない。
 復興関連工事の増大で、建設業界は慢性的な人手不足に陥っている。県の公共工事では入札不調が起きている。取得した建設用地には田畑や山林が含まれ、軟弱な地盤で造成に時間を要するケースも想定される。県は民間事業者からの買い取り方式を導入するなど、工期短縮を図っているが、「用地取得から先が正念場」(県幹部)とみている。

■住民の環境変化
 県は災害公営住宅の一部で入居者が決まらない事態を受け、今回、用地確保の見通しが立ったいわき市など応募が多い地域を除き、低調な地域の整備計画の見直しを検討する。
 整備計画は25年度に復興庁と県、避難自治体が実施した住民意向調査を基に策定した。政府が避難指示解除準備と居住制限両区域の解除目標を29年3月までとするなど、住民を取り巻く環境は変化した。
 県の担当者は「災害公営住宅に移るよりも、自宅に直接戻りたい住民が増えている」とみる。復興庁と県などが現在実施している住民意向調査などを踏まえ、整備時期や戸数などを精査し、より現状に即した内容とする意向だ。

□背景
 県は東京電力福島第一原発事故による避難者向けの災害公営住宅を平成29年度末までに、15市町村で4890戸建設する計画。これまで3期に分けて計2101戸の入居者を募集。今年4月から5月にかけて募集した第3期分の1349戸では、383戸で入居者が決まらず、再募集した。帰還の見通しが立ったことや既に住宅を確保したり、部屋の条件が合わなかったりしたのが要因とみられ、整備計画と避難住民の意向との食い違いが浮き彫りになっている。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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