県現代詩人会員で相馬市のみうらひろこ(本名・根本洋子)さん(73)は10作目となる詩集「渚の午後 ふくしま浜通りから」をコールサック社から出版した。浪江町に暮らしていたが、東京電力福島第一原発事故で相馬市に移った。古里を失った悲しみや原発への思い、避難生活の苦悩などをつづった。
みうらさんは浪江町苅宿で生活していたが原発事故で生活が一変した。町内津島地区に避難した後、福島市を経て昨年6月、現在の住宅で生活を始めた。詩集の出版は平成18年以来、9年ぶり。「原発事故や避難生活を経験したからこそ、残さなければならないことがある」。慣れない土地での避難生活の中でも創作活動を続けた。避難後から4年間に書いた219編を収めた。
メロンパン4分の1片だった避難中の昼食、防護服を着て訪れた古里の墓、原発の安全神話に疑いを持たなかった住民、望郷の思いを抱きながら命を亡くした人。自らの体験をありのままにしたためた。帯文は親交のある芥川賞作家柳美里さん(南相馬市)が書いた。みうらさんは「1つの歴史を形にすることができた。書くことで発信したい」と話している。
1冊1620円(税込み)。全国の書店で扱っている。問い合わせはコールサック社 電話03(5944)3258へ。
(カテゴリー:福島第一原発事故)