原発事故関連死 東電、請求棄却求める 因果関係示す証拠要求 飯舘102歳自殺 口頭弁論
東京電力福島第一原発事故で避難を迫られ、将来を悲観し自殺したとして、飯舘村草野の大久保文雄さん=当時102歳=の遺族が東電に約6000万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論は15日、福島地裁(金沢秀樹裁判長)であった。東電側は請求棄却を求める答弁書を提出し、争う姿勢を示した。
東電側は、原発事故と自殺の因果関係について、事実を裏付ける証拠を明らかにするよう原告側に求めた。
遺族は、大久保さんの次男・一男さん(故人)の妻美江子さん(62)と、大久保さんの孫2人。
訴状によると、大久保さんは平成23年4月11日、飯舘村が原発事故により計画的避難区域に指定されるのを報道で知った。同居していた美江子さんに「避難したくない」「長生きしすぎたな」などと漏らし、意気消沈したという。翌12日朝、大久保さんは自室で首をつった状態で見つかった。
原告側は、102年間暮らした村を離れ、見知らぬ土地で避難生活を送らなければならないと知った大久保さんが精神的な苦痛を感じた-と主張している。
■原告側、医師意見で反論 避難転院死亡 双葉病院訴訟
東京電力福島第一原発事故後、入院していた大熊町の双葉病院から避難を強いられ、その後死亡した男性=当時(89)=の遺族が東電に避難費用や慰謝料など約3700万円の損害賠償を求めた訴訟の第5回口頭弁論は15日、福島地裁(金沢秀樹裁判長)であった。
前回の口頭弁論で東電側が男性の死亡と原発事故の因果関係を否定したのに対し、原告側は男性の主治医だった医師の意見を基に反論した。
訴状によると、男性は原発事故発生で双葉病院から神奈川県の複数の病院を経て、福島市の病院に移った。その過程で体力が低下したのに加え、認知症などが悪化し平成25年1月、福島市の病院で死亡したとされる。
次回は12月15日午前10時からの予定。
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