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【震災から4年6カ月】「福島第一原発」 識者の目 燃料取り出しリスク説明を 県原子力対策監 角山茂章さん

 東京電力福島第一原発の廃炉作業は一歩ずつ前進しているが、溶融燃料(燃料デブリ)の取り出しに向けた原子炉内部の調査、汚染水対策、作業員の安全管理など直面する課題は多い。角山茂章県原子力対策監(71)に現状と見通しを聞いた。
 
 -1号機などでロボットを使った原子炉格納容器内部の調査が始まった。
 
 「ロボットによる調査を開始したが課題は多い。まずは強い放射線の影響でカメラがやられてしまうケースがあった。半導体や制御系もダメージを受けている。内部の状況を見るのは簡単ではない。これからは燃料デブリの位置や形状を正確に把握する必要があり、さらなる創意工夫が求められる」
 
 -6月に中長期ロードマップ(廃炉工程)が改訂された。
 
 「見直された廃炉工程では燃料デブリの取り出し方法を平成30年度上半期に決め、初号機の取り出し開始時期を33年とした。方法を決めてから、取り出しを始めるまでに3年しかない。福島第一原発の事故形態はスリーマイルやチェルノブイリとは全く違うため、未知の世界への挑戦となる。取り出す機器の開発も必要。3年での開始は非常に難しいのではないか」
 
 -取り出しでは、格納容器を水で満たし、燃料が発する放射線を遮った状態で原子炉上部から作業する冠水工法や、水を張らない気中工法などから選択するとしている。
 「国と東電が取り出し方法を決める際には、それぞれの手法がどういうリスクを負うかなどをきっちり県民に説明した上で判断すべき。さらに前例がない作業なので原子力規制委の安全審査にも相当な時間を要するだろう」
 
 -規制委が凍土遮水壁の本格運用の前提条件としたサブドレン計画を漁業関係者が受け入れ、地下水のくみ上げも始まった。
 
 「漁業者ら地元関係者が廃炉・汚染水対策には必要なものであるとの理解から苦渋の決断をした。しかし、凍土遮水壁は依然として試験凍結の終了の見通しが立っていない。年度内の本格運用は厳しいままだ。(国や東電の)見通しが甘いと言える」
 
 -排水基準を超える放射性物質濃度の雨水が排水路から港湾外の海に流出し、公表の遅れも問題となった。
 
 「建屋で発生する汚染水などと比べて(放射性物質濃度が)低いというのは分かる。しかし、県民感情などを考えると、排水路が港湾外に直接流れる状態になっていたことがまずい。港湾内に放出するよう排水路を付け替えることが原則。問題発覚後も雨水流出のトラブルが相次いで起きている。東電の雨への対応は、あまりにも想像力が欠けている」
 
 -作業員の死亡事故が続いている。
 
 「どこの職場にも通じるが、現場での『気付き』や想像力を持っている人が少ないのではないか。いつも事故が起きてからの対応のように見える。8月上旬にバキューム車後部のタンクのふたに挟まれて作業員が死亡する労災事故があった。現場責任者らは危険性に気付く機会が何度もあったはずだ。親身になり、作業員の視点で安全を確認している人が少ないように感じる」
 
 つのやま・しげあき 東京都出身。東京大理学部卒。東芝原子力研究所などを経て、平成18年から26年3月まで会津大理事長兼学長。25年10月から県の非常勤特別職「原子力対策監」に就いている。
 

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