東京電力福島第一原発事故に伴う避難指示が解除された楢葉町で4日、ユズの実証栽培が始まった。今後3年間で果実の安全性などを検証し、「ゆずの里ならは」の復活を目指す。
実証栽培が始まったのは町内下小塙の6号国道沿いにある農地。松本幸英町長をはじめ、町ユズ研究会のメンバー、JAふたば関係者ら約20人が苗木にスコップで土を掛けた。約1600平方メートルの敷地に約160本が植えられた。来年には実がなる予定。
町は30年ほど前、ユズの特産化を目指して全戸に苗木を配った。町民有志が町内で約500本のユズの木を育て、平成22年にはユズ酒を発売した。原発事故後は避難により木の手入れなどができなかった。
松本町長は「適地を見つけながらユズの木を増やしていきたい」と述べた。町ユズ研究会の新妻孝会長(74)は「果実への放射性物質の影響は心配」としながらも、「避難中、お世話になった人に町内で育てた果実を使ったユズ酒を届けたい」と語った。
(カテゴリー:福島第一原発事故)