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【防災移転跡地整備】用地2割強 未買収 津波被災の県内6市町 一体活用に影響

防災集団移転促進事業の跡地買い取り状況

 東日本大震災の津波で被災した県内6市町が進めている防災集団移転促進事業の跡地買い取りで、自治体側が買収予定の約742ヘクタールのうち、2割強に当たる約166ヘクタールが未買収となっている。所有者が売却を希望しなかったり、地権者が不明で交渉が進まなかったりしていることが主な要因。跡地を地域の再生・活性化に活用する自治体にとって迅速な土地集約が課題となっている。

■最多87ヘクタール
 福島民報社が21、22の両日、防災集団移転促進事業に取り組んでいる相馬、南相馬、楢葉、富岡、浪江、新地の各市町の現況を調べた。6市町の対象面積と買い取り状況は【表】の通り。
 未買収の面積は南相馬市が最も多く約87ヘクタール、浪江町は約25ヘクタール、相馬市が約10ヘクタール、新地が約3ヘクタール、楢葉町は1ヘクタールほどとなっている。富岡町は1月に買い取り手続きを始めたばかりで、現時点での買収実績はなかった。いわき市も事業を進めているが、平成26年度末までに買い取りを完了した。

■混在
 各市町は取得した土地に地域活性化に向けた施設や防災機能などを整備する方針。ただ、買収により取得した公有地と未買収の民有地が混在している状態下では、跡地を一体的に活用できないのが実情だ。
 南相馬市は取得した土地のうち、約84ヘクタールを対象に市民の意見などを踏まえて利用計画を決定する。市の担当者は「公有地が点在しており、一体的な利活用法を見いだしにくい」と明かす。

■税優遇で促進
 買い取りが進まない理由について、浪江町の担当者は「先祖代々受け継いできた土地を手放すことに抵抗を感じる地権者が少なくない」と説明する。長年にわたり登記が変更されておらず、所有者が明確でない土地では交渉相手が海外にいるケースもあった。
 国は土地集約促進に向けて4月から5年間にわたり、自治体が利活用を考える区域内の民有地と区域外の公有地を交換する際の登録免許税を非課税とする対策を打ち出した。県も地方税である不動産取得税を減免できるよう国と協議している。

【背景】
 自治体は津波被災者を高台や内陸部など安全な場所に集団移転させるために防災集団移転促進事業を進めている。費用は国が全額を負担する。県内はいわき、相馬、南相馬、楢葉、富岡、浪江、新地の7市町に計画があり、計47地区1175戸を高台などの移転先に造る。各市町は津波被害を受けた地域を「災害危険区域」に指定して居住制限をかけ、宅地や隣接する農地を買い取って公有地にする。土地の売却は任意のため、基本的に地権者の同意がなければ買い取れない。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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