原子力規制委員会は10日、東京電力福島第一原発事故後に続けている県内での放射線量測定について、避難区域以外の地域で体制を縮小する方針を決めた。放射線監視装置(モニタリングポスト)の撤去や再配置を検討する。平成28年度は現在の測定体制を継続し、29年度以降に縮小する考え。
規制委の田中俊一委員長(福島市出身)は同日の定例会合で、原発から比較的離れた地域の放射線量について「事故から5年がたち、事故前のレベルに近くなっており、変動もない」と指摘。今後は帰還する住民に参考としてもらうため、放射線量が高い帰還困難区域などでの測定を強化する方針を示した。規制委は今後、県や地元市町村、関係省庁と調整を進める。
縮小対象となるのは、小中学校の校庭や公園などの放射線量を24時間連続で測定し、保護者らがインターネットなどで随時数値を確認できるリアルタイム線量測定システムのモニタリングポスト。県内全市町村に計約3千台あり、このうち避難区域が設けられた12市町村以外にある約2400台の撤去などを検討する。
高い線量まで測定できる別タイプで全市町村に置いてあるモニタリングポスト約600台は従来通り測定を継続する。
県放射線監視室は「規制委から正式な通達が来ていない」とした上で、「県内では廃炉作業が続き、県民の放射線量に対する関心は高い。安易に減らすと反発も予想される。県民が納得できる十分な説明を求めていく」と話した。
(カテゴリー:福島第一原発事故)