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介護職不足に拍車 県内求人倍率、震災後最高

 平成27年度の介護職の県内有効求人倍率は2・80倍で東日本大震災、東京電力福島第一原発事故後最高となり、人材不足に拍車がかかっている。浜通りが顕著で、特に相双地区は3・58倍と震災前の5倍に上昇した。帰還者は高齢者が多いとされ、避難指示の解除が進めばさらに介護需要は高まるとみられる。介護施設からは「国が被災地で優先すべき課題」との声が上がっている。

■相双3・58倍
 福島労働局などが震災前後の年度ごとに平均値をまとめた介護職の県内と浜通りの有効求人倍率の推移は【グラフ】の通り。震災前の22年度の県内有効求人倍率は1・05倍で求人数と求職者数がほぼ同数だったが、震災後は介護福祉士、ホームヘルパーらが年々不足して求人数が大きく増え、27年度は22年度に比べ2・67倍に増えた。28年度も求人が一時減る4月から7月の平均で2・67倍あり、倍率は今後高くなって増加傾向が続くと予想されている。
 公共職業安定所が管轄する県内8地域別の27年度有効求人倍率は、いわき地区が3・87倍で最も高い。双葉郡内の長期避難者が多く暮らし、介護需要が高いとみている。避難区域のある相双地区は3・58倍でともに県内平均を大きく上回る。相双地区は22年度比で5・04倍に増え、最も上昇率が高かった。
 介護関係者らは「避難指示が解除された地域で子育てや共働きする環境が十分に整わず、女性を中心に介護職経験者の帰還が進まない」とし、比較的賃金の高い復旧工事などに若者の労力が集中しているとみている。

■再開延期も
 県によると、南相馬市小高地区の特別養護老人ホーム梅の香は10月の再開を目指していたが、職員が集まらずに来年4月にずれ込む見通しになった。3月に再開した楢葉町の特別養護老人ホーム・リリー園は震災前に59人いた職員が28人に減った。入所者の制限を続けており、待機者は十数人いる。
 原発事故後も飯舘村で運営している特別養護老人ホーム・いいたてホームは震災時に82人いた職員が相次ぐ避難などで49人まで減った。来年3月の避難指示解除後に帰還する住民の多くが高齢者と見込んで介護職を募っているが、見通しは立たないという。

■要介護者増
 厚生労働省は26年度から相双地区に特化した介護職に就く人の就職支援や研修の受講費の補助などに取り組んできた。29年度予算の概算要求でも事業を継続する予算を盛り込んだが、市町村からは「抜本的な解決に至っていない」との不満が聞こえる。
 相双地区は避難生活の長期化で体調を崩すなどし、介護の必要な要介護者が震災前の約1・4倍の約8400人に増えていることが県の調査で分かっている。
 相双地区の介護施設関係者からは「帰還する住民は高齢者が多く、要介護者も増える。介護職の担い手への支援は国が最優先すべき課題の一つで、取り組みをさらに充実させる必要がある」と訴える。

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