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放射線 放射性物質 Q&A 国連科学委報告書の改訂版とは

 原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)が、平成28年に東京電力福島第一原発事故の健康影響に関する報告書の改訂版を出版したということですが、どのような内容になっているのでしょうか。

【回答者】県放射線健康リスク管理アドバイザー・長崎大原爆後障害医療研究所教授 高村昇さん

■大部分が当初の仮定追認

 UNSCEARは2013年に福島第一原発事故の健康への影響に関する報告書を公表し、福島県では事故による被ばくの影響で死亡したり、深刻な病気になったりした事案は報告されておらず、今後、がんの発生率に明確な変化が表れ、被ばくによるがんが増加することも予想されないと結論付けています。
 UNSCEARは2016年に、上記の報告書作成後に報告された新たな調査結果を勘案し、報告書の改訂版を出版しました。この中でUNSCEARは、住民の外部被ばく、内部被ばく線量の調査結果や福島県民健康調査で行われている甲状腺検査の結果など、新たに明らかになった調査結果を解析し、「評価された新規情報源の内、大部分が2013年報告書の主要な仮定の1つまたは複数を追認するものであり、2013年報告書の主要な知見に影響を及ぼしたり、異議を唱えたりするものはなかった」としています。
 1つの研究では、その対象人数や手法などの限界があり、それだけで結論を出すことができないことが往々にしてあります。そのため個々の科学論文の妥当性を評価し、その上で事故による健康影響を総合的に評価するのは国際機関の重要な役割であり、今後も定期的にこのような報告書が作成されることが予想されます。今回のUNSCEARの報告書は日本語に翻訳されてインターネット上に公開されていますので、興味のある方はぜひ一度ご覧になってみてください。

カテゴリー:放射線・放射性物質Q&A

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