東日本大震災

「復興を問う-震災6年の現実」アーカイブ

  • Check

運営 後押し足りず 例外なく薄利状態 人手不足(下)

 人手不足はサービス業でも顕著になっている。県内サービス業の有効求人倍率は昨年12月時点で2.81倍に上る。東日本大震災から6年となり、中でも宿泊施設は復興関連作業と交流人口の拡大を支えている。人の移動が激しい浜通りで特に需要が高い。
 平成32(2020)年の東京五輪・パラリンピック開催を見据え、30年夏の一部再開、翌年4月の全面再開を目指すJヴィレッジ(楢葉・広野両町)。東京電力福島第一原発事故後、対応拠点として使用されたセンター棟から東電が27年に退去し、施設再開に向けた改修工事が本格化、新たに宿泊施設の建設が始まっている。
 宿泊施設の従業員採用は、運営する日本フットボールヴィレッジから施設運営を委託される業者が本来行うが、ヴィレッジ側は進んで働き手集めに乗りだした。総務グループチーフの山内正人(39)は複数の委託先との打ち合わせで「人が集まらなければ運営は難しい」との感触を得ていた。手は尽くすものの、「施設は立派になるが思うように人が集まらない」と頭を抱える日が続く。


 原発事故以前、Jヴィレッジの宿泊施設では約70人が働いていたが、事故対応拠点となり全員が解雇された。宿泊施設はセンター棟西側に建設する。地上7階建て、シングルの客室120室程度に加え、約300人の収容が可能なコンベンションホールを備える。必要なスタッフは約100人に膨らむ。山内は元社員に2年前から声を掛け始めたが、既に新たな働き先を見つけた人がほとんどだった。
 双葉郡の住民から採用しようと考えたが、富岡公共職業安定所に登録されている全求職者数は約80人で、このうちサービス業の求職者は十数人だけだった。いわき市でも求職者は少なかった。市内の宿泊施設関係者が「いくら求人を出しても人が集まらない」とこぼしていた通りだった。
 東京都内の大手人材派遣会社に足を運び、従業員確保の協力を求めた。地元以外の県内の高校や専門学校などにも求人を案内した。県内外で手は打ったが、満足する人数は確保できていない。


 宿泊施設の経営は全国的に薄利状態が続く。山内は再開後のJヴィレッジも例外ではないとみている。人も利益もぎりぎりの状態ではいかに公共性の高い施設とはいえ、継続が難しい。山内は特に浜通りの宿泊業は双葉郡をはじめ福島の今を支える産業の一つだと捉え、運営面から支援する仕組みを検討するよう国に求める。
 整備が終わった国内有数の施設で五輪候補選手や県外からの観光客、地元住民らが集い、かつてのにぎわい以上の場面が浮かぶ。山内は「復興の後押し」の一念で駆け回っている。(敬称略)

カテゴリー:復興を問う-震災6年の現実

「復興を問う-震災6年の現実」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧