県商工会連合会は3日、東京電力福島第一原発事故に伴い避難区域になった地域の商工業者のうち、昨年9月時点で半数以上が事業を再開したとの調査結果を発表した。一方、再開事業者の約7割で東日本大震災前に比べ営業利益が減少した。
事業の再開状況は【グラフ(上)】の通り。震災前と同じ場所で再開した事業者は20・2%、避難先など他の場所での再開は31・8%で合わせて52・0%になった。再開した事業者の割合は川内村が90・0%で最も高く、広野町87・5%、田村市都路83・3%と続いた。業種別では、建設業は77・1%が再開したのに対し、小売業は36・4%、飲食業は40・0%にとどまった。住民を顧客とする業種で休業率が高かった。
再開した事業者の営業利益の増減は【グラフ(下)】の通り。5割以上減少した事業所は37・5%だった。避難指示によるなじみの客の減少や、仕入れに手間がかかるなど販売・管理費の増を理由に挙げる事業者が多かった。
避難先など他の場所で再開した事業所のうち、地元での再開を計画しているのは39・1%。建設業などで再開意向が高かった。
調査に携わったいわき明星大教養学部の高木竜輔准教授は「たとえ事業を再開しても、営業利益が上がらず苦しんでいる事業者が多い。帰還する住民のためにも事業継続に向けた支援を整える必要がある」と指摘した。県商工会連合会は福島相双復興官民合同チームと連携し再開事業者の支援に全力を挙げる。
調査は昨年9月、広野、楢葉、川内、富岡、大熊、双葉、浪江、葛尾、飯舘各町村と、田村市都路、南相馬市小高、川俣町山木屋の2293事業者を対象に実施し、1062業者から回答を得た。回収率は46・3%だった。
(カテゴリー:福島第一原発事故)