東日本大震災

「「3.11」から6年それぞれの軌跡」アーカイブ

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入学式待ち遠しい 橋本栞ちゃん 5 ~福島市~

おじいちゃんとおばあちゃんに買ってもらったランドセルを背負い、小学校入学を楽しみにしている栞ちゃん

 東日本大震災が発生した平成23年3月11日午後2時46分から40分後、福島市の橋本幸枝さん=当時(33)=は女の子を出産した。市内の産婦人科は激しい揺れで倒壊の恐れもあった。駐車場に止めた夫紀明さん=同(34)=の車に避難して出産した。元気な産声を上げた女の子は「栞」と名付けられた。

 栞ちゃん(5つ)は4月、小学生になる。父紀明さん(40)、母幸枝さん(39)はまな娘の成長ぶりに目を細めている。
 1月におじいちゃんとおばあちゃんに買ってもらったランドセルを日に何度も背負って鏡に映る姿を眺めている。「早く入学式の日にならないかなぁ」。最近の栞ちゃんの口癖だ。
 ランドセル選びには時間がかかった。好みがはっきりしてきて、市内の店を4軒も巡った。迷った末に選んだのが茶色にピンクのラインが入ったデザイン。ハートがあしらわれているのが決め手になった。最近、かわいらしいものに敏感になった。

■『まだ6年、もう6年』
 興味や関心事にも個性を表すようになってきた。
 2月14日に新入学児を対象に給食体験会があった。メニューはカレー。みんなで食べる給食が気に入ったようで、「給食が楽しみ」と大きな瞳を輝かせて元気いっぱいに笑って見せた。駆けっこが速く、陸上競技に興味を示し始めている。
 橋本家では長男、長女に次いで3度目の小学校の入学式となるが、震災当日に生を受けた栞ちゃんの入学は特に感慨深い。震災からまだ6年という気もするが、もう6年という感じもしている。

■『震災とともに』
 栞ちゃんは3人きょうだいの末っ子。高校2年の兄凌さん(17)と小学6年の姉奏(かな)さん(12)と過ごしているせいか、周囲の子に比べておしゃまだ。
 特別な日に生まれた栞ちゃんは小さな頃から3月11日が近づくと取材を受けてきた。以前は恥ずかしがったが、最近はカメラにピースサインをしたり、笑顔を浮かべたりする。そんな姿が着実な成長を感じさせる。
 夫妻は震災の記憶とともに成長するのは宿命かなと感じている。
 いずれは本人も自覚してくれるだろう。その日が来るまで温かく見守っていきたい-。娘を包み込むようなまなざしで語った。


 東日本大震災、東京電力福島第一原発事故から6年。県民はそれぞれの「3・11」を胸に刻みながら歩み続けている。これまでに紙面で取り上げた人たちのその後の軌跡をたどった。

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