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水産庁「要件見直しも」 厚労省「安心損なう」 漁業再生(中)

厚労省が入る庁舎。厚労省は出荷制限の指示や解除を判断している

 水揚げの少ない本県沖魚介類12種の出荷制限解除の見通しが立たず漁業者から不満の声が上がる中、水産庁は解除要件の見直しが可能かどうか検討に入った。担当者は「漁獲量が少ない現状を踏まえれば柔軟な対応も考えなければならない」と話す。あくまで現行の要件での解除が基本だが、放射性物質検査に必要な検体が十分に集まらない種に限って「『例外』もあり得る」との見解だ。

 具体的には、制限対象種と同じ「属」に分類される魚種の検査結果を制限対象種に当てはめ、解除の判断材料とする案が浮上している。例えば、ムラソイはメバル属に分類されるため、メバル属の他種のセシウム濃度が食品衛生法の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を下回っているかどうかを調べ、結果を基にムラソイの解除の可否を判断する流れを想定している。
 水産庁などによると、同じ属であれば体の構造や好む餌、生息環境が似ていることが多い。魚介類がセシウムを体内に取り込んだり排出したりする機能も似ており、両種に含まれるセシウム濃度を同程度とみなせる可能性があるという。
 一方、同じ属の種でも回帰時期が異なる場合は餌や生態が異なるとされる。両種のセシウム濃度を同程度とみなすためにはさらなる根拠が必要となり、今後の検討課題になるとみている。
 水産庁は今後、出荷制限解除の可否を判断している厚生労働省と要件の見直しについて協議する考えを示す。

 ただ、厚労省は見直しに慎重な姿勢を示しており、解除の先行きは見通せない。一部種の要件を緩和することで、既に解除した他種を含む県産魚介類全体に対する消費者の信頼度が低下し、安全・安心感を損なうリスクを指摘する。担当者はまだ水産庁から話はないとした上で「見直し案の内容次第だが、現時点では何ともいえない」と明言を避ける。
 厚労省が出荷制限解除の可否を判断しているのは食の安全性の担保を管轄しているためだが、県に制限や解除の指示を出すのは農林水産、厚労両大臣など関係閣僚らで構成している政府の原子力災害対策本部だ。対策本部事務局の担当者は「出荷制限の解除に関する内容は厚労省の管轄のため回答できない」との立場を取る。どういう判断で制限が解除になるのかは県にも知らされておらず、解除を決める流れはブラックボックス状態とも言える。
 県内の漁業者の一人は「解除要件が見直され制限対象種が減っても、消費者の信頼を失えばこれまでの努力が水の泡になる。しかし、現状のままでは完全に解除となるのはいつになるか分からない」と本格操業に向けて揺れる心境を明かした。

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