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「社会基盤」常磐線の復旧進む 浪江―小高 近く運転再開 29年末まで 竜田―富岡 31年度末まで 富岡―浪江

 震災と原発事故で大きな被害を受けたJR常磐線は2月末現在、竜田(楢葉町)-小高駅(南相馬市)間(約36・6キロ)が不通となっている。JR東日本水戸支社は平成31年度末までの全線再開を目指している。

 このうち、浪江町の居住制限、避難指示解除準備両区域の今月末の解除に合わせて運転を再開する見込みの浪江-小高駅間(約8・9キロ)は震災の影響で橋脚のずれなどが生じたため、28年1月から橋脚やレールの補正・補強などが進められてきた。

 残りの不通区間のうち竜田-富岡駅間(約6・9キロ)は29年末までに、富岡-浪江駅間(約20・8キロ)は31年度末までに再開を予定している。

 常磐線は震災と原発事故で一時、全線で運転を見合わせた。その後、順次再開通し、久ノ浜(いわき市)-広野駅間が23年10月、原ノ町(南相馬市)-相馬駅間が23年12月、広野-竜田駅間が26年6月、小高-原ノ町駅間が28年7月、相馬-浜吉田駅(宮城県亘理町)間が28年12月にそれぞれ運転を再開した。


■「社会基盤」 新地駅 核にマチ再生 供用開始3カ月 朝夕、高校生で活気

 新地町のJR常磐線新地駅は昨年12月の供用開始から間もなく3カ月が過ぎる。朝夕は高校生の姿が目立ち、新たな「町の顔」周辺は活気にあふれている。

 にぎわい創出に向け、町は新地駅を中核としたまちづくりを進めている。駅周辺に宿泊施設(ホテル)や温泉を生かした温浴施設を誘致する。現在は更地だが事業者が決定しており、平成30年春のオープンを目指す。

 「分譲 売り出し中」。駅前の宅地にはこう書かれたのぼり旗が目立つ。一帯には災害公営住宅に加え、民間住宅が次々と整備されつつある。

 同駅は津波で被害を受けたため、元の位置から内陸に約300メートル離れた場所に移転した。相馬-浜吉田駅間の再開通に伴い利用を開始した。運休中はバスで学校に通っていた高校生らが電車通学に切り替えたという。ただ、再開通後1カ月間の原ノ町−岩沼駅(宮城県岩沼市)間の1日当たりの乗客数は、震災前より約2割減少した。列車の運行本数は震災前とほぼ同じだが、沿線の人口が減ったことが影響したとみられる。

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平日朝の新地駅前。高校生らが降り立ち学校などに向かう。後方の更地にはホテルなどが整備される予定

■「シンボル橋」月内完成 小名浜港東港地区 物流拠点建設進む

 いわき市の小名浜港では、平成30年度の完了を目指して国際的な海上輸送網の拠点作りを目指す東港地区国際物流ターミナル整備事業が進む。今月下旬に東港と陸地を結ぶ橋「小名浜マリンブリッジ」が完成する予定で、新たな観光のシンボルになると期待が集まる。

 震災で損壊した小名浜港各ふ頭の66の岸壁は27年度末までに全て復旧した。西端にありヨットを係留するいわきサンマリーナは災害復旧工事が続いているが、昨年から緑地など一部を開放した。

 小名浜港の総取扱貨物量は22年が約1490万トンだったが、震災があった23年は約1190万トンに減った。24年以降は回復し、28年は約1630万トンとなった。このうちコンテナ取扱量は建築資材の輸入増などで過去最多の約2万4千TEU(1TEUは20フィートコンテナ1つ)を記録した。

 県は小名浜港の10~15年先を描いた港湾計画の改定を進めている。東港の岸壁延長や野積み場拡大を盛り込む見通しで、国の交通政策審議会の審議を経て今月末までに公表する。

 港の周辺では、港背後地に整備中のイオンモール(本社・千葉市)の地上5階建て大型複合商業施設が30年6月に開業する見通しとなっている。今年2月には、小名浜港と中通りを結ぶ県道いわき石川線の一部バイパス化工事が始まった。


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東港地区(右側)の整備が進む小名浜港。中央は東港と陸地を結ぶ「小名浜マリンブリッジ」


■全線復旧で帰還後押し JR東日本水戸支社総務部震災復興室長 吉沢謙次氏に聞く

 震災と原発事故で被災した浜通りの地域再生に向け、地元からJR常磐線の早期全線復旧を求める声が上がる。JR東日本水戸支社総務部の吉沢謙次震災復興室長(54)に今後の見通しを聞いた。

 ―今春の運転再開を予定している浪江-小高駅間の状況は。

 「不通となっている竜田−小高駅間の約36・6キロのうち、浪江-小高駅間は浪江町の居住制限、避難指示解除準備両区域の解除時期に合わせて運転を再開する方向で日程を調整している。3月7日から試運転を行い、線路や信号、踏切などの設備が正常に機能するか確認し、乗務員の操縦訓練も実施する。震災で浪江町の室原川橋梁の橋脚がずれるなどの被害があり、平成28年1月から復旧工事を進めてきた」

 ―浪江駅以南の不通区間の再開見通しは。

 「竜田−富岡駅間は29年末までに、富岡-浪江駅間は31年度末までの再開をそれぞれ目標としている。津波で被災した富岡駅は、富岡町のまちづくり計画に合わせて駅舎を移設する。富岡−浪江駅間は大熊、双葉両町の帰還困難区域解除の動きを見据えながら再開準備を進める」

 ―28年12月に運転を再開した相馬-浜吉田駅間の利用状況や地域への効果は。

 「相双地方から仙台方面への通勤や通学の利便性が向上した。運転再開1カ月間の1日当たりの平均乗客数は新地−岩沼駅間が8400人、原ノ町−新地駅間が3100人で、バスや車利用から鉄道へシフトする人が増えている。運転再開に合わせ、南相馬市の原ノ町駅に設けた「原ノ町駅陣屋」では甲冑(かっちゅう)の試着体験が人気だ。相馬野馬追のPRと誘客につなげたい」

 ―全線復旧への決意を聞かせてほしい。

 「全線再開への住民の期待は大きい。全線復旧すれば、通勤や通学、通院、買い物などの利便性が向上し、避難区域解除後の住民帰還を後押しすることにつながる。32年の東京五輪で来日が見込まれる外国人の観光誘客にも貢献したい。浜通りの復興には常磐線の全線復旧が欠かせない。沿線のまちづくりと歩調を合わせながら早期の実現に全力で取り組む」

■略歴
 よしざわ・けんじ 茨城県日立市生まれ、多賀高卒。昭和56年に旧国鉄に入社。水戸支社の設備部企画課副課長、総務部総務課原発事故対応室長などを経て平成25年10月から震災復興室長。54歳。

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