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「社会基盤」391カ所 月内完了 残り128カ所、32年度末までに 帰還困難区域外の県公共土木施設復旧

 震災の津波で被災した県管理の公共土木施設(帰還困難区域を除く)519カ所のうち、3月末までに75%に当たる391カ所の復旧工事が完了する見通しとなった。残る128カ所は平成32年度末までに終える方針だ。

 県が昨年2月に示した計画と進捗(しんちょく)状況は9分野のうち、排水機場と港湾・漁港、道路、治山施設が30年度、河川、海岸、防災緑地が31年度、津波被災地道路と海岸防災林が32年度に完了する。

 28年度は年度末までにひろの防災緑地(広野町)や豊間地区海岸(いわき市)など50カ所の復旧が完了する見通し。道路は304カ所のうち293カ所を終え進捗率は96%となる予定だ。

 分野別では当初予定に比べ河川、排水機場、港湾・漁港、道路、津波被災地道路でやや遅れている。県は遅れた理由について、台風などの天候不順で一部の工事を計画通り進められなかったためとしている。

 一方、帰還困難区域内の施設については主要道路の一部箇所の復旧作業を除いて未着手となっている。国直轄除染が終わっておらず災害査定ができないためだ。

 政府は区域内に特定復興再生拠点を整備し、5年後をめどに解除する方針。2月10日に閣議決定した福島復興再生特別措置法改正案には、区域内の除染とインフラ整備を一体的に推進する内容を盛り込んでいる。

 県土木企画課は「区域解除に不可欠なインフラを限られた時間で整備しなければならない。国に除染の加速化と必要な予算の確保を求めていく」としている。

■「復興道路」整備着々 相馬山上−相馬玉野 26日供用 相馬福島道路

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故により、県内の道路、鉄道、港湾など県民生活を支える社会基盤は大きな被害を受けた。「3・11」から6年が過ぎようとしている今、国が復興支援道路に位置付ける115号国道バイパス「相馬福島道路」の整備が着々と進み、JR常磐線は浪江町の一部を除く避難指示解除に合わせて浪江−小高駅間で運転を再開する見通しだ。

■32年度末までに93.9%開通
 
 相馬福島道路は全長45・7キロのうち、93・9%に当たる42・9キロが平成32年度末までに開通する見通しとなっている。26日には相馬山上−相馬玉野インターチェンジ(IC)間(阿武隈東道路)の10・5キロが全5区間で初めて供用を開始する。

 相馬福島道路は【地図】の通り。相馬玉野−霊山IC(仮称)間17キロは29年度に開通する予定。相馬−相馬山上IC間の6キロは30年度、霊山−福島保原線IC(仮称)間7・4キロと国道四号IC(仮称)−福島北ジャンクション(JCT、仮称)間2キロは32年度に供用を開始する見込み。福島保原線−国道四号IC間の2・8キロは未定。

 国土交通省によると、相馬市の相馬ICから福島保原線ICまでの走行時間は約30分、福島保原線ICから伊達市内の四号国道までは約10分で計40分。相馬ICから115号国道を通り福島市内の四号国道に到着するルートに比べ、約50分短縮される。県は相双、県北両地方間の物流、救急搬送の時間短縮につながるとみている。

■国交相許認可後 東北中央道の一部に

 相馬福島道路は国土交通省が115号国道バイパスとして整備している。国の国土開発幹線自動車道建設会議で、高速道路としての基本計画が決定した。今後、同会議で整備計画が決まり、国交相の許認可が下り次第、東北中央自動車道の一部区間となる。

■ルポ 接続部工事残すのみ

 115号国道「相馬福島道路」の相馬山上−相馬玉野インターチェンジ(IC)間(阿武隈東道路)は開通まで1カ月を切り、仕上げの工事が進められている。

 相馬市中心部から115号国道を伊達市方面に向かうと、新設される相馬山上ICが右手に現れる。ICを通過し、緩やかな上り坂を数百メートル走ると一気に視界が開け、阿武隈山地を見渡すことができる。

 相馬福島道路は無料で通行できる自動車専用道路。片側1車線のため、正面衝突事故の発生が懸念される。このため、国土交通省は「ボックスビーム」と呼ばれる鋼製の中央分離帯を設置した。高さは70センチほどあり、一般的なガードレールに比べ2倍の強度を持つ。車両がボックスビームを突き破り、対向車線に乗り越えてくる危険は考えにくいという。

 追突事故などが発生し、消防、警察などの緊急車両が駆け付ける場合、現場周辺を通行止めにした上で、道路上の一般車両を退避させる必要が生じる。こうしたケースを想定し、中央分離帯の約500メートルごとに開口部を設けた。ボックスビームには車輪が付いており、中央分離帯を開け閉めできる。冬場の降雪や路面凍結に備え、除雪車や融雪剤散布車を配置する。

 阿武隈東道路は平成28年度の開通目標が示され、最も多い時期で1日当たり約400人が作業に従事した。地盤が硬いため、斜面の掘削に苦労したという。昨年12月末に始まった舗装工事は終わり、トンネル内には照明が付いた。現在は相馬山上IC、相馬玉野ICそれぞれと現道の115号国道の接続部分の工事を残すのみとなった。

 阿武隈東道路工事連絡協議会長を務める工藤健二さん(39)=鹿島道路=は現場代理人として作業に携わる15社をまとめてきた。「ようやくここまで来た。福島の早期復興につながる道になればうれしい」と願い、真新しいアスファルトをまぶしそうに見つめた。(相馬支局長・須釜 豊和)
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工事がほぼ完了した阿武隈東道路で、開通日を待ちわびる工藤さん

■道の駅設置 動き広がる

 115号国道バイパス「相馬福島道路」や東北中央自動車の整備に伴い、道の駅を整備し地域活性化を図る動きが広がっている。

 伊達市は相馬福島道路の霊山インターチェンジ(IC、仮称)付近に道の駅「伊達の郷(さと)りょうぜん」を建設している。延べ床面積は約1380平方メートルで、今年12月に完成し来春オープンする予定。テナント棟やレストラン、農産物直売所に加え、観光農園を設け体験型の施設にする。仁志田昇司市長は「市の新たな玄関口として、多くの人でにぎわい、震災からの復興の象徴になってほしい」と期待している。

 福島市は東北中央道福島大笹生IC付近に道の駅を建設するため、平成28年度内に基本構想、29年度中に基本計画を策定する。予定地は同ICとフルーツライン(県道上名倉・飯坂・伊達線)に囲まれた区域。計画策定後、供用開始までは4、5年を要すると見込んでいる。「総合案内」「休憩施設」「産直・物販」「交流・体験」「防災」の5つのテーマを設け、観光のシンボルとして整備を急ぐ考えだ。

■小名浜道路 30年代前半開通目指す

 いわき市の小名浜港と常磐自動車道を結ぶ小名浜道路は昨年12月、同市江畑町で橋りょう整備などの本格的な本線工事が始まった。県は平成30年代前半の開通を目指している。

 小名浜道路は全長約8・3キロの自動車専用道路で、県がふくしま復興再生道路に位置付けて整備している。起点から終点までに泉下川(仮称)、添野(仮称)、いわき小名浜(仮称)、山田(仮称)の各インターチェンジを設ける。整備区間の一部は東日本高速道路(ネクスコ東日本)に施工業務を委託し、県と同社の連携で工期の短縮化を図る。

 県は小名浜道路の開通により、小名浜港から常磐道までの走行時間が現在の約半分となり、物流の円滑化につながるとみている。

■「社会基盤」 9工区の工事終了 ふくしま復興再生道路 8路線29工区

20170304_2.jpg 県は中通りと浜通りを結ぶ主要な国道と県道の計8路線を「ふくしま復興再生道路」と位置付け、バイパス工事や道路の拡幅などを進めている。全29工区について、平成30年代前半までに終える見通しだ。

 8路線は【図】の通り。1月末現在、全29工区のうち9工区で工事を終え、供用を始めている。10工区は工事中、残り10工区は調査中か用地買収中となっている。

 8路線の開通により、避難区域やその周辺の広域的な物流が円滑化し、産業や医療の面でも効果を発揮すると期待される。


【ふくしま復興再生道路の整備状況】
(1)県道原町川俣線(南相馬市原町区−川俣町間、3工区)=完了2工区、事業中1工区
(2)114号国道(福島市−浪江町間、8工区)=完了3工区、事業中5工区
(3)288号国道(郡山市−双葉町間、5工区)=完了3工区、事業中2工区
(4)349号国道(小野町−川俣町、3工区)=全工区事業中
(5)399号国道(いわき市−浪江町津島間、2工区)=両工区事業中
(6)県道吉間田滝根線(いわき市川前町−小野町間、1工区)=事業中
(7)県道小野富岡線(いわき市川前町−富岡町間、6工区)=完了1工区、事業中5工区
(8)小名浜道路(いわき市泉町−同市山田町間、1工区)=事業中

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