東日本大震災

「放射線・放射性物質Q&A」アーカイブ

  • Check

放射線 放射性物質 Q&A 甲状腺がん 他地域より高い?

 県民健康調査で行われている甲状腺検査で、これまで100人を超える方が甲状腺がん、あるいはがんの疑いと診断されたと聞きました。この数は、他の地域に比べると明らかに多いように思うのですがどうでしょうか。

【回答者】県放射線健康リスク管理アドバイザー・長崎大原爆後障害医療研究所教授 高村昇さん

■「潜在」あり高いと言えず

 福島県における甲状腺がんの発症率は全国平均よりも高い、と報道されることがありますが、本当にそうでしょうか。ここでいう「甲状腺がんの発症率」の全国平均というのは、通常頸部のしこりといった何らかの症状があって医療機関を受診し、甲状腺がんを発見された方の割合を指します。
 一方で、県民健康調査で甲状腺がん、あるいはがんの疑いと診断された方は、事故当時0歳から18歳だった方、さらに事故当時お母さんのおなかの中にいた方を対象に行われた検診(スクリーニング検査)によって発見された方です。現在、日本では(おそらく世界でも)福島のような甲状腺検査を行っているところはありません。
 そのため、同様の甲状腺検査を行った場合、他の地域でどのくらいの頻度でがんが発見されるかという調査はほとんど行われていません。
 ただ、福島県よりはかなり小規模ながら、近年いくつかの地域で小児や若年者を対象とした甲状腺検査が行われており、それらの結果を見ると福島県における甲状腺がんの割合とほぼ同じであることが示されています。
 県民健康調査で発見されている甲状腺がんの多くは、精度の高い検査を行うことで、放射線と関係なく以前から一定割合ある「潜在がん」を見つけている可能性が高いと考えられます。このような現象は「スクリーニング効果」と呼ばれ、単純に福島県における甲状腺がんの発症率が高い、とは言えないことが分かります。

カテゴリー:放射線・放射性物質Q&A

「放射線・放射性物質Q&A」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧