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[川俣・山木屋]菅野勝久さん 66 新たな花咲かせる

ハウスの建設予定地で新たな挑戦への決意を新たにする菅野さん。右後方は菅野さんの自宅

 「新しい挑戦をここから始めたい」。川俣町山木屋の農業菅野勝久さん(66)は、31日の避難指示解除を機に自宅へ戻り、ポリエステル媒地を使ったアンスリウムの花の栽培に取り組む。産業として確立させ、住民や観光客でにぎわう地域にしたいと青写真を描いている。

 運送業や製造業で働く傍ら、自宅で葉タバコ農家の仕事を手伝ってきた。60代を前にした平成22年、作業の負担が比較的少ない小菊の栽培に切り替えた。しかし翌年、仕立てた苗が青くなる前に東京電力福島第一原発事故が起きた。避難後も続けた仕事を65歳で全て辞めた。年金だけでは心細く、避難指示解除後の農業再開を考えた。ただ、ハウスと畑両方の管理が必要な小菊栽培は体力的に難しいと感じた。

 昨夏、町がアンスリウムの栽培者を募集しているのを知った。自動でハウスの温度管理ができるなど手間の少なさが魅力だった。山木屋地区の5人を含む11人で今年1月にポリエステル媒地活用推進組合を設立し、産地づくりに乗り出した。

 自宅敷地内の約40アールに町から借りたハウス2棟を今年中に建てる。順調なら31年に出荷できる。ただ、どれほどの値が付くか不安も募る。山木屋地区の冬は冷え込み、燃料代がかさむ。売れても安値では採算が合わない。「国や県は継続的な営農支援をしてほしい」と求める。

 一方で樹齢500年の大木など数10本の桜がある自宅周辺を公園として整備し、観光客誘致を目指す構想もある。新たに購入した桜の苗木20本を今春植える予定だ。114号国道沿いに6月にオープンする商業施設「とんやの郷」を拠点に山木屋地区の名所を多くの人に広めるつもりだ。

 自身が行政区長を務める山木屋4区は34戸のうち約半数がいずれ帰還する意思を持っている。「高齢化が進み、何人が農業を再開できるか分からない。自分がまず動き出すことで地域の可能性を広げたい」と意欲をにじませる。

カテゴリー:古里への思い-4町村避難指示解除

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