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せき止め効果想定達せず 福島第一原発の凍土壁

 東京電力福島第一原発の汚染水対策として350億円の国費が投じられている「凍土遮水壁」は3月末で運用開始から1年になった。1~4号機建屋を囲むように地面を凍らせて地下水が建屋内に流入するのを防ぐ仕組みで、山側の約8メートルの一カ所を残して凍結を進めている。ただ、地下水のせき止め効果は東電が示した想定に達しておらず、効果を疑問視する声が出ている。
 東電の計画では平成32年までに1~4号機の建屋地下階にたまっている高濃度汚染水を全て抜き取り、放射性物質を取り除いて構内のタンクで保管することになっている。ただ、建屋に周辺の地下水が入り込んでおり、汚染水発生につながっている。
 このため建屋の周囲約1.5キロの地中に1メートル間隔で深さ約30メートルの凍結管を埋め込み、地盤を凍らせて地下水の流入を防いでいる。一度に全箇所を凍結させると地下水位が変動し、汚染水が建屋外に漏れる恐れがあるとし、段階的に凍結を進めてきた。
 東電は運用開始前、凍土壁全体が凍結すれば下流でくみ上げる地下水の量を一日当たり平均400トンから、50トン以下にまで減らせるとしていた。全箇所で凍結が完了している段階ではないが、3月のくみ上げ量は一日120トン程度にとどまる。降雨量が多い時期はさらにくみ上げ量が増加するとの見方もある。
 こうした中、原子力規制委員会からは凍土壁の効果が限定的との指摘が出ている。更田豊志委員長代理は福島民報社のインタビューで「凍土壁はあくまでも重層的対策」と述べ、建屋周辺の井戸「サブドレン」からのくみ上げに力を入れるべきとの見解を示している。
 東電福島第一廃炉推進カンパニーの増田尚宏最高責任者は地下水のくみ上げ量が当初の想定に達していないと認めた上で、「くみ上げ量は下がってきており、(凍土壁の)効果は出ている」と説明した。

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