東京電力は22日、福島第一原発3号機の原子炉格納容器で水中ロボットを用いた調査を続行し、格納容器の底でも溶融物が固まったとみられる物体を複数確認した。岩や砂のような形状で、東電は21日に圧力容器下部で撮影した物体と同様、事故で溶け落ちた燃料(燃料デブリ)の可能性が高いとしている。格納容器底部でデブリの可能性の高い物体が確認されたのは初めて。
東電が公開した画像では、格納容器の底付近にオレンジや赤茶色の物体が散在していた。底の中央では、岩状の堆積物が少なくとも1メートルの高さまで積もっていた。ロボットが水中を移動する際、砂のような物体が底から舞い上がる様子も撮影できたという。
本来は格納容器底部に存在しないはずの鉄製足場(グレーチング)やパイプのような物体なども写っていた。燃料デブリがグレーチングなどを巻き込んで落下した可能性がある。
これまでの宇宙線を用いた調査などで、3号機は燃料デブリの大部分が原子炉圧力容器の底を突き破り、格納容器の底に落下したとみられている。22日夜に記者会見した東電の木元崇宏原子力・立地本部長代理は、今回の調査結果だけでは3号機全体の燃料デブリの分布は判断できないと説明した上で、将来的に今回撮影した物体を採取、分析する方針を示した。
調査は午前5時ごろに開始した。遠隔操作で水中ロボットを格子状の鉄製足場の下へ潜らせ、搭載したカメラで格納容器の底部付近を撮影した。7時間ほど調査し、ロボットを格納容器内から回収した。
19日に始まった調査は22日で終了した。東電は今後、一連の調査で撮影した映像と事故前の格納容器の図面を照らし合わせ、損傷状況や経過などを分析する。政府と東電は今夏、1、2、3号機の状況に応じて燃料デブリの取り出し方針を決める計画で、調査で得られた知見を生かす。
東電は今回の調査では格納容器内の気体が外部に漏れないよう対策を講じて作業しており、原発周辺への放射線の影響はないとしている。東電によると、水中ロボットが3日間の調査で受けた放射線量は30グレイだった。
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