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種場 守った7年 松川浦の青ノリ出荷再開

7年ぶりの出荷となった青ノリの出来を確かめる久田さん

 「お客さんにやっと青ノリを食べてもらえる。漁業者としてやりがいを感じる」。東日本大震災、東京電力福島第一原発事故の影響で中断していた相馬市松川浦の青ノリ出荷が約7年ぶりに再開した5日、収穫作業をした久田要一さん(53)=相馬市尾浜=は感慨に浸った。日差しを浴びて緑色に輝くノリを手に「上出来」とうなずいた。

 震災以降、養殖再開に向け、久田さんは仲間の漁業者とともに種場の維持・保全と安全性を確認する放射性物質検査のための青ノリ育成などに当たってきた。立派に成長した青ノリを収穫しても消費者の口に届かないことに、もどかしさを感じていた。
 高校卒業後、民間企業に就職した。2年後に退職し、漁業の道に入った。2009(平成21)年11月に病気で亡くなった父の要人(かなめ)さん=享年(77)=からノリ養殖の基礎を学んだ。
 市内では今年夏、原釜尾浜海水浴場が再開する見込みだ。松川浦のホテル・旅館、飲食店10店舗は相馬の名産カレイを使ったメニューを提供する事業を展開している。復興事業が一段落し、景勝地・松川浦を前面に打ち出し、観光誘客を図る機運が高まっている。久田さんは「震災前のようにたくさん青ノリを収穫し、お客さんに気軽に味わってもらうことで松川浦の復興につなげたい」と語った。

■震災前とほぼ同額で取引 安定生産など課題
 青ノリの出荷再開初日は1キロ当たり200円(税別)と、震災前とほぼ同じ価格で仲買業者と取引された。今後は青ノリの安定的な生産・出荷や販路拡大、風評対策、後継者育成が課題となる。
 相馬双葉漁協によると、今季の作付面積5・4ヘクタールは震災前の1割ほど。今季の生ノリの出荷目標は10トンで、震災前の2010(平成22)年の約223トンに比べ5%程度にとどまる。震災前は県外にも流通したが、当面は地元中心に流通する見通しという。
 後継者の確保も不可欠だ。漁協によると、現在、ノリ養殖の漁業者は68世帯。震災前に比べ世帯数に大きな変動はないが、震災後に後継者となる複数の若手が漁業を離れたという。立谷寛治組合長は「ノリの養殖を次世代にしっかり継承していきたい」と話している。
   ◇  ◇ 
 相馬市内のスーパーや海産物直売所などで5日、生の青ノリの販売が始まった。このうち磯部水産加工施設の直売所では100グラム120円(税込み)で販売され、客が買い求めた。次の操業は21日の予定。問い合わせは同直売所 電話0244(33)5111へ。

カテゴリー:福島第一原発事故

青ノリを買い求める来店者=5日、相馬市・磯部水産加工施設の直売所

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