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【震災から7年】「避難生活」避難者5万人超 ピーク時に比べ3分の1以下に

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故に伴う避難者数は1月末現在、県内外合わせて5万534人で、最も多かった2012(平成24)年時に比べて3分の1以下まで減少した。災害公営住宅の整備が進み、仮設住宅の入居者もピーク時から9割ほど減ったが、依然として多くの県民が避難生活を強いられる状況が続く。原発事故を要因とする震災関連死は増え続けている。高齢者を中心とした体調や心のケア、見守り体制の構築などが一段と求められている。

 県内外への避難者数と仮設住宅の入居者数の推移は【グラフ】の通り。

 2月末現在の避難者の内訳は、県外が3万4095人で、県内が1万6426人。近年は県内の避難者減少の動きが加速している。特に仮設住宅入居者は3865人で最も多かった2012年7月の3万3016人の1割にまでに減り、前年同期と比べても3割ほどまでに減少した。災害公営住宅の整備が進んだ上、自主避難者への住宅無償提供の打ち切りなどにより、帰還や新たな住居への移転が進んだとみられる。

 2015年9月に避難指示が解除された楢葉町の避難者への仮設住宅や借り上げ住宅の無償提供は今年3月末で終了となる。一方、南相馬、川俣、富岡、川内、大熊、双葉、浪江、葛尾、飯舘の9市町村からの避難者については3月末の期限を2019年3月末まで1年間延長する。このうち、南相馬、川俣、川内、葛尾、飯舘の5市町村の避難指示解除地域は一律延長を今回で終える。今後は避難者個別の事情の把握や住居確保の支援などに加え、住民の交流の場づくりなどが一層重要となる。


■自殺者 被災3県で最多 昨年12月末現在99人

 震災と原発事故に関連した県内の自殺者は、昨年12月末現在で99人に上る。宮城県53人、岩手県48人で、被災三県の中で最多となっている。

 厚生労働省が集計した県内の東日本大震災に関連する2011(平成23)年からの自殺者数と性別、年齢は、年齢別では50代が最も多い27人。次いで80歳以上が17人、60代が16人、70代が15人と続いた。50代以上が全体の70%以上を占める。原因と動機別では、健康問題が50人と最多で、家庭問題が22人、経済・生活問題が20人と続いた。

 県は被災者の自殺防止に取り組む心のケアセンターを2012年4月に設けさせ、看護師や臨床心理士らが被災者を訪問して支える活動を続けている。


■仮設入居者が減少 解体や自治体に無償譲渡

 県内の仮設住宅数は1月末現在で1万3726戸あるが、入居戸数は2252戸と全体の16・4%まで減った。県は空きが出た仮設住宅を解体するとともに、自治体などへの無償譲渡を進めている。

 県内では震災と原発事故以降、25市町村に1万6800戸が建設された。一時は3万人以上が入居していたが、避難先での新居の建築や災害公営住宅への転居が進み、現在は1割ほどまで減少した。入居者減に伴い、撤去数は昨年同期の2・3倍となる3074戸に増えた。

 県から譲渡された仮設住宅は公営住宅や宿泊用コテージなどに活用されている。2017(平成29)年度から産業振興などに活用する民間事業者も譲渡の対象にした。


■災害公営住宅 15市町村に4890戸 大半が年度内完成

 原発事故に伴う避難者向けの災害公営住宅は1月末現在、15市町村に整備予定の4890戸のうち、4323戸が完了した。建設中の住宅も3月末までに大半の4707戸が完成する見通しで、事業は大きな節目を迎える。

 計画整備戸数に占める完成戸数の割合を示す進捗(しんちょく)率は88・4%で、昨年1月末現在に比べ完成戸数は1295戸増え、進捗(しんちょく)率は26・5ポイント伸びた。福島、いわきの両市以外で計画戸数の全てが完成した。3466戸が入居済みとなっている。最も完成戸数が多いのはいわき市の1288戸、次いで南相馬市の927戸、郡山市の570戸となっている。

 県は昨年8月、入居希望者がなく空いていた相双地方といわき市の一部の災害公営住宅について、避難指示が既に解除された地域の住民を募集対象に広げるなど柔軟な運用も始めた。入居希望が少ないとして保留していた災害公営住宅183戸のうち、福島市北沢又の60戸は需要が見込めると判断し、建設を決めた。残りの123戸は、さらに需要が出た場合に整備するか判断する。


■災害公営住宅 ルポ 4町の住民 交流深まる 小名浜 下神白団地

 「ラジオ体操第一−」。おなじみのリズムが団地内に響く。いわき市小名浜の災害公営住宅「下神白団地」に住む富岡町民らの朝はラジオ体操から始まる。毎日、約30人が顔を出し、笑顔で元気に体を動かしている。

 2015(平成27)年に同市内初の災害公営住宅として完成した。東京電力福島第一原発事故の影響で市内に避難する富岡、大熊、浪江、双葉の4町の住民が入居している。5階建てが6棟ある。合わせて200世帯が入居でき、棟ごとに居住する住民の町が決まっている。同じ敷地内で生活するに当たり、コミュニティー形成が必要不可欠といえる。

 2016年6月に自治会を結成した。各棟の代表らが毎月第4金曜日に役員会を開き、補助金の使い方などを話し合ったり、入居者が交流できるイベントを発案したりしている。今年1月に開いた新年会には約80人が参加した。団地完成当初に催したイベントの2倍を超える参加者が集まり、コミュニティーの形成、拡大が目に見えて分かる形となった。

 自治会長の遠藤一広さん(66)は「古里から避難している私たちには生きがいが必要。楽しいことを共有して仲良く、元気に生活できれば」と言葉に力を込めた。

 今までとは異なったコミュニティーを形成することは一朝一夕では難しい。だが一歩ずつ確実に、被災者の誰もが生き生きと暮らせる態勢づくりが、進められている。(いわき支社報道部・大沼伸太朗)

■福島大うつくしまふくしま未来支援センター特任教授 天野和彦氏に聞く「国は心の復興に手厚く」

 震災と原発事故に伴う避難生活による体調悪化や自殺などで死亡した震災(原発事故)関連死問題に詳しい、福島大うつくしまふくしま未来支援センターの天野和彦特任教授に防止に向けた対策の在り方を聞いた。

 −県内の関連死は2月20日現在、2211人に上っている。食い止めるにはどう対応すればよいか。

 「2千人以上も死亡しているのは異常な状態だ。国は被災者の"心の復興"に向け、より手厚い予算を投入するべきだ。さらに被災者を支援する行政と社会福祉協議会、NPO、ボランティア団体が情報を共有しなければならない」

 −共有すべき情報とは。

 「誰が、どこに住み、どのような課題があり、どのような状態にあるのかといった情報を関係団体が把握する必要がある。被災者に合った支援を模索することが、一人一人に寄り添うことになるだろう。各団体が連携しなければ、援助の手が届かず、関連死に陥る人が出てしまう。連携を難しくしているのは、行政が個人情報の保護を優先して被災者情報をボランティア団体などに提供しないという実態だ。被災者を守るために不可欠な情報であると行政は認識してほしい」

 −関連死を防ぐには具体的に何をするべきなのか。

 「交流の場の提供と自治活動の促進が重要だと考えている。仮設住宅や災害公営住宅には、さまざまな交流イベントがあるが、参加しない人がいる。そんな人が関心のある行事を企画し、孤立させない工夫が大切だ。行政の協力を受けて住民主体で活動すれば、自治活動が活発化するはずだ。住民同士が安否を確認するようになり、関連死の防止につながる」

 あまの・かずひこ 会津若松市出身。若松一高、東北福祉大卒、福島大大学院修了。特別支援学校の教諭勤務を経て、2012(平成24)年から福島大うつくしまふくしま未来支援センター特任准教授。2017年に同センター特任教授に就任。須賀川市在住。58歳。

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