スペースバルーン(ガス気球)を用いた成層圏気球を開発している。バルーンによる安定的な宇宙映像の撮影を可能にした。最先端技術は国内外から注目される。
岩谷圭介社長(33)は郡山市出身。安積高、北海道大工学部機械工学科(航空宇宙専攻)卒。二〇一〇(平成二十二)年に風船を利用した身近な宇宙開発事業を本格化させた。
バルーンを使った宇宙撮影は、撮影後に落下する機材回収が難しい。国土が狭く、山林が多い日本では不可能とされてきたが、独自の技術で上空の複雑な風向きを分析。風船の落下位置を正確に割り出す技術を確立した。零下七〇度になる成層圏の過酷な環境に耐えられるカメラを開発し、二〇一二年に小型カメラを使い上空三万メートルからの撮影に成功した。
二〇一八年には熱帯魚の入った水槽を高度二万五千メートルの成層圏に風船で打ち上げ、生きたまま帰還させた。世界初の挑戦だった。宇宙ステーションと同じように酸素濃度や加速度(G)を一定に保てる装置を作り上げた。現在は有人の大型気球による宇宙旅行計画の実現に向けて研究を進めている。
「宇宙航空開発を通し、未来を担う子どもたちに夢を与えたい」。岩谷社長の夢は無限に広がる。
■メモ
▽設立=2016(平成28)年4月
▽社長=岩谷圭介
▽従業員数=3人
▽住所=いわき市植田町中央1丁目4の1
▽メールドレス=info@iwaya.biz