「伝統産業を成長産業に」をスローガンに、企業間連携や新市場参入を通じ、白河だるまの販路開拓に力を注ぐ。
白河だるまは白河藩主松平定信のお抱え絵師・谷文晁が意匠を考案したとされる。鶴や亀、松竹梅を取り込んだ上品な顔立ちが広く知られている。幸栄は伝統工芸としての白河だるまを継承しつつ、新分野に積極的に挑戦した。職人たちの技術力が武器となった。
オリジナルブランドとして「Hanjiro(ハンジロー)」を立ち上げた。「伝統工芸品はデザインで生まれ変わる」の渡辺守栄社長(59)の考えのもと、さまざまな企業とタイアップし、斬新なデザインのだるまを誕生させた。ルパン三世、チコちゃんなどのキャラクターだるまは新たなファンをつかんだ。「ワンコインの縁起物」として、だるまをカプセルに入れた「ガチャポン」もあり、全国で約四百台が稼働する。渡辺社長は「白河だるまの新たな可能性を探っていく」と言葉に力を込める。
だるまをテーマにした観光物産施設「だるまランド」の建設計画を進めている。二〇二一(令和三)年春に市内横町にオープンする予定。観光客向けとしては市内初の本格的施設となり、地元経済への波及効果も期待できそうだ。
■メモ
▽設立=1991(平成3)年4月
▽社長=渡辺守栄
▽従業員数=15人
▽住所=白河市明戸81
▽電話番号=0248(22)7060