次世代型として注目を集めるシリコンカーバイド(SiC)半導体を応用した製品の製造・開発を進めている。オリジナルの多門照射式放射線がん治療装置は体深部の腫瘍に対応する最新鋭の医療機器として、国内外の病院で治験に向けた準備が始まっている。
治療装置は、ホウ素薬剤を患者のがん細胞に取り込み、中性子を照射してがん細胞のみを破壊する。副作用が小さく患者の負担が少ないがんの治療法として注目されている。開発した臨床試験機器は、従来の半導体に比べ大きな電流を流せるSiC半導体を活用し、装置の大幅な小型化と低コスト化に成功した。
設置に広いスペースを必要としないため、患者の六方向から体内に中性子線を照射することができ、体表面から二十五センチの深さのがん細胞も治療可能だという。二〇二一(令和三)年、京都府立医大で治験を始める予定だ。
古久保雄二社長(66)は国の津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金を受け、楢葉町に本社工場を設けた。石本学取締役経営企画本部長(54)は「開発した機器は、がん治療の第一の選択肢になる潜在能力がある。福島発の医療機器で国内外に復興を発信したい」と夢を描く。
■メモ
▽設立=2014(平成26)年9月
▽社長=古久保雄二
▽従業員数=53人
▽住所=楢葉町山田岡字仲丸1の7
▽電話番号=0240(25)8923