地域共生社会の実現を目指し、障害者の就労支援施設としてパンを製造、販売している。障害の特性や能力に応じ、接客や会員制交流サイト(SNS)を使った販売促進、商品開発などにも取り組む。多様な作業を通じて生まれる誇りや自信が障害者の技能を高め、地域との関わりを増やし、就労の機会創出につながっている。
常連客や地域住民、企業・団体の有志が「ベーカリーパートナー」として販売促進や販路拡大に協力し、運営を支えている。二〇一九年に、ベーカリーパートナーから生地の配合、ネーミングなどアイデアを広く募り、食パン「夢詰麦(ゆめつむぎ)」を共同開発した。しっとり、もっちりとした食感と優しい味わいが人気を呼び、午前中で売り切れる日も多いという。
一斤三百八十円(税込み)の売り上げのうち三十円をルワンダの教育を考える会(福島市)に寄付し、同会が運営する現地の学校の給食費に充てている。子ども食堂へのパン提供や、障害者雇用に積極的な飲食店とのコラボ商品開発にも力を入れる。
地域の声が形となり、地域に愛されるパンは「共生社会」の象徴といえる。斎藤功施設長(39)は「作る人も食べる人も笑顔になるパンが、幸せを循環してくれる。障害者の就労環境創出につなげたい」と夢見る。
■メモ
▽設立=2011(平成23)年10月
▽施設長=斎藤功
▽従業員数=23人
▽住所=福島市本町5の31
▽電話番号=024(524)2230