海産物商として創業し、現在は県北地区などでスーパーマーケットを軸に事業展開している。東京電力福島第一原発事故発生後、安全・安心な県産農産物を消費者に届けたい-との思いから、新たな流通モデルの構築を目指してきた。
二〇一四年に二本松市の生産者団体オーガニックふくしま安達(関元弘代表幹事)、福島市の物流業者デイリーサービス(引地孝之社長)と連携し、高品質で高鮮度の有機農産物を販売する体制を整えた。原発事故の風評などで販路を失った有機農産物を全量買い取り、週三回集荷する。主に福島市のいちい十店舗で販売している。買い取り価格は生産者の希望を聞いた上で決めている。
県産食材の安全性を理解してもらうため、消費者を畑に招き収穫体験会を開いている。独自に放射性物質検査も実施している。食品ロスを減らそうと、規格外のキュウリなどを加工食品にする六次化の取り組みにも熱心だ。
いちい全体で、将来的に取り扱う野菜の一割を有機農産物に切り替える計画。伊藤信弘社長(63)と伊藤翼常務・管理本部長(37)は「今後も生産者、物流業者と一体となって県産品の魅力が詰まった商品を届けたい」と前を見据えている。
■メモ
▽設立=1892(明治25)年4月
▽社長=伊藤信弘
▽従業員数=1266人
▽住所=福島市さくら1丁目2の1
▽電話番号=024(594)1111