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【ふくしま2022参院選 現地ルポ⑤】<県北・相馬>白熱する「代理戦争」

2022.07.01 09:13

 参院選福島県選挙区(改選1議席)に立候補した自民党公認の新人星北斗(58)=公明党推薦=、野党統一候補で無所属の新人小野寺彰子(43)=立憲民主党、国民民主党、社民党推薦=による攻防は、有権者約40万人の県北・相馬地方で白熱している。衆院本県1区の県北・相馬地方を地盤とする自民の亀岡偉民(66)=比例東北=、立民の金子恵美(56)=本県1区=がそれぞれの脇を固め、2人の威信を懸けた代理戦争の様相を呈している。

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■星陣営 政権与党の安定訴え

 星は30日、福島市や川俣町を遊説した。「次世代の人々が夢や誇りを持って農業に打ち込める環境をつくる。未来に向け一緒に汗を流し進もう」と声を張り、県北地方の重点課題である農林業の再生、地域医療の拡充などに取り組む姿勢を強調した。立ち会った亀岡は「野党は新しいものをつくれない。皆さんのために働く政治家を選んでほしい」と援護射撃した。

 星陣営の屋台骨は亀岡をはじめ、県議、市町村議が9市町村に張り巡らせた後援会だ。農業や商工業、医療、宿泊業など約350団体・企業と連携し組織戦を展開する。危機的状況には安定した政治の継続が必要だと訴えている。2019年の前回参院選で自民現職が獲得した約11万1000票を基に、今回は11万票以上を目指している。

 亀岡にとっては、前々回と前回の衆院選で野党統一候補の金子に敗れ比例復活に回った雪辱を期す戦いだ。次期衆院選に向けた支持基盤の強化にもつながる。自民は農業票の囲い込みを戦略的に進めており、首相の岸田文雄が公示日に第一声を上げたのは福島市の農産物直売所だった。被災した中小企業向けのグループ補助金を、農業ハウスや畜舎の再建などにも使えるように特例を設けている。

 農業や商工業などの組織票を固める一方で、課題は無党派層の取り込みだ。陣営は交流サイト(SNS)での情報発信、党学生部による広報活動を強化。1区選対本部長の県議太田光秋は「党員や党友、友好団体とのネットワークを最大限に生かし、支持を拡大させる」と意気込む。

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■小野寺陣営 批判票取り込み躍起

 小野寺は30日、福島市や南相馬市での街頭演説で「頑張っている人が報われる社会をつくる。災害に強く、住民がいきいきと暮らせるまちづくりを進めたい」と言葉に力を込め、家計の負担軽減、農家の所得補償なども実現させると訴えた。マイクを握った金子は「巨大な政党が政権を担っていることで、どんどん生活が厳しくなり、格差が広がっている」と政治の刷新を呼びかけた。

 小野寺は労働組合をはじめ、鉄道や電力などの65団体・企業から推薦を得た。立民、社民、国民の推薦に加え、共産が側面支援している。野党系の県議、市町村議らと連携し、政権批判票の掘り起こしに重点を置く。前々回の参院選で野党統一候補が獲得した約12万2000票を基に、今回の得票目標は12万票以上とした。

 金子にとっても正念場となる。次期衆院選で、本県1区から相馬地方が切り離され、二本松市や本宮市、安達郡が新たに加わる区割り改定案が示されている。亀岡に2勝1敗と勝ち越しているが、大票田の福島市や伊達市などでの支持を盤石にしたいとの思いが透ける。小野寺陣営の総合選対本部長と1区選対本部長を兼務する金子は、小野寺が県北・相馬地方を遊説する際には必ず同行してきた。

 選対幹部は無党派層からの支持拡大で勝機をつかめると分析。草の根的な運動で小野寺の政策と人柄を広め、交流サイトでの情報発信を強化する。1区選対幹事長の県議大場秀樹は「悩みや困りごとに寄り添える(小野寺の)誠実さ、真面目さを知ってほしい」と言葉に熱を込めた。

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 NHK党公認の新人皆川真紀子(52)、政治団体「参政党」公認の新人窪山紗和子(47)、無所属の新人佐藤早苗(62)も支持を呼びかけている。(敬称略)