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【2022参院選 福島県民のまなざし】観光 コロナ苦境に救済を 経営支援策求める

2022.07.08 09:45
情勢の変化に応じた政策を望む斎藤さん

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、観光業界は約2年半にわたり苦境に立たされている。国や県などによる宿泊補助事業が設けられても、感染状況によって休止や再開が繰り返される事態が続いている。感染の「第7波」の兆しもみられ、政府の全国旅行支援の開始時期が不透明な情勢になっている。観光業は裾野の広い産業だけに、関係者は「経営を支える施策を実行してほしい」と求めている。

 福島県会津若松市の東山温泉では、2021(令和3)年の観光客の入り込み数が31万人となった。コロナ禍前の2019年の52万人の約6割にまで落ち込んだ。東山温泉観光協会長の斎藤純一さん(72)=庄助の宿 瀧の湯会長=は「宿泊業の破綻(はたん)は他の業種に影響が及び、地域の衰退につながる。救済のため大胆な政策を講じるべきだ」と危機感を募らせる。政府は当初、旅行代金補助などの全国旅行支援を7月前半から開始すると発表していたが、判断を参院選後に見送った。観光客増加につながると希望を持っていただけに、期待を裏切られた形だ。

 コロナ禍は旅行形態を変化させた。密を避けるため団体から個人へ移行している。主に団体客を対象としていた施設は個人客に対応するよう改修・増築したり、人員を配置したりする必要がある。斎藤さんは「新しい挑戦には費用がかかる」と支援を求める。

 県外の人が東日本大震災、東京電力福島第一原発事故の被災地の現状を学ぶ「ホープツーリズム」だが、感染拡大期間は参加者が大きく減少する傾向にある。

 語り部として活動している福島県浪江町の佐藤秀三さん(77)は2カ月に1回のペースで来県者を受け入れてきたが、昨年は年間で2件にとどまった。「地域活性化にもつながる。国を挙げての支援が必要だ」と各党・候補者に要望している。

 コロナ禍に伴う物流の停滞も観光業界に影響を及ぼしている。猪苗代町の箕輪スキー場は夏の期間、機材のメンテナンスを行っている。だが、リフトの設備改修に使う部品の供給が滞り、作業が思うように進んでいない。

 さらに燃料費の高騰が悩みだ。昨季はリフトの動力や暖房に必要な重油代と電気代が増大。今季の経費は昨季の1・5倍程度に増えると見込む。

 各党は燃料の購入費補助、物の供給網の強靱(きょうじん)化などを公約に掲げている。支配人の山口武史さん(33)は「国際社会と協調した燃料の安定調達やさらなる補助拡大など、政治の力で課題を解決してほしい」と訴えている。