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【2022参院選 福島県民のまなざし】災害対応 自主防災力強化につながる具体策を 福島県南相馬、本宮

2022.07.10 09:20
地震の影響でひびが入った壁を見詰める今村さん夫妻。雨漏り対策で室内にシートを広げている

 地震や豪雨などの自然災害が頻発、激甚化している。本県は東日本大震災以降も大規模災害に幾度も見舞われてきた。生活の立て直しが急がれる一方、教訓を防災・減災にどう反映させるかも問われる。被害に遭った県民は支援や自主防災力の強化につながる具体策を政治に求める。

 最大震度6強を観測した3月の福島県沖地震から16日で4カ月となる。県の直近の集計で住宅被害は2万7761棟。被災状況調査は続いており、被害はさらに膨らむ可能性がある。

 福島県南相馬市の住宅被害は罹災(りさい)証明書の申請ベースで4500件を超えた。うち約340件は外観を調べる一次調査の判定を不服とし、内部を詳細に調べる二次調査を申し立てている。

 鹿島区の台田中行政区も多くが被災した。応急修理は済ませたものの、被害が確定しないために本格的な修繕や解体に進めない人も少なくない。行政区長の自営業林一(はじめ)さん(69)は「高齢者世帯が多い地域だ。再建は簡単ではない」とため息を漏らす。

 農業今村秀紀さん(81)は妻和子さん(81)、長男夫婦と4人で暮らす。家の屋根瓦が崩れ、壁にひびが入った。「準半壊」の一次判定に納得できず二次調査を求めたが、調査は進んでいない。「復旧・復興や防災力向上を掲げるのであれば、被災者の目線に立ち、行政の災害対応を早めてほしい」と注文する。

 今回の参院選は物価高対応などが論戦の中心となり、防災・減災はかすみがちだ。ただ、夏場は毎年のように豪雨災害が起きる。選挙期間中も台風4号が列島に到来した。

 2019(令和元)年10月の台風19号では阿武隈川流域を中心に多くの河川が氾濫した。県によると、直接死は32人に上り今年4月12日までに8人が関連死と認定された。住宅被害は20451棟に上る。

 福島県本宮市は阿武隈川の越水と安達太良川の堤防決壊で広範囲が浸水し、7人が犠牲になった。国による阿武隈川の堤防整備が6月に完了するなどハード面の対策が進む一方、建物解体で生じた空き地が目立つ地域もある。

 阿武隈川から約250メートル西にある市内本宮の加藤精肉店は2メートル以上浸水し、再開まで半年を要した。社長の加藤一男さん(74)は「再生には官民一体で安全・安心なまちを築く意識が欠かせない」と強調する。

 本宮五区町内会は3年前の教訓を生かそうと昨年7月に自主防災会を設立し、加藤さんが会長に就いた。避難経路の周知や避難情報を伝達・共有する仕組みの検討を進める。「住民の自助努力には限界がある。自主防災組織の機能を強める政策を打ち出してほしい」と求めた。