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【名君の大名文化】8日から後期展「粋 極まる」

2022.11.04 09:37

 会津若松市の県立博物館で開催中の企画展「名君の大名文化」。武門の地・会津で大名文化の精華に触れてもらいたいという林原美術館(岡山市)の思いにより、過去にない規模で、国宝・重要文化財を含む林原美術館の名品が一堂に並ぶ。8日から始まる後期展では刀剣、能装束、絵画などが多数、新たに展示される。後期にお目見えする中から注目の品を紹介する。(紹介する作品はいずれも林原美術館所蔵)


◎源氏物語図屏風(狩野養信筆)-江戸時代-

 描かれているのは、十二単(ひとえ)の華やかな姫たちが遊ぶ世界。こうした華麗で豪華な?風(びょうぶ)は大名家のお姫様のお輿(こし)入れに欠かせない一品だった。そこで選ばれた人気のテーマが源氏物語。平安時代のみやびやかな風俗はめでたいもの、平和の象徴と見られていたようだ。

◎太刀銘備前国長船住左近将監長光造 国宝-鎌倉時代後期-

 すらりと美しい。長い刀身に小ぶりの切先、小さく震えるような刃文が特徴だ。長光は鎌倉時代後期の名工。鎌倉時代の刀工の中でも最も多く作刀が現存し、いずれも名刀として知られる。「長光」の銘に「威光が長く光る」という意を込めて、将軍家や大名家の代替わりの贈答品として用いられた。


◎奇峰秋色図(浦上玉堂筆) -江戸時代-

 不思議というか異様というか、他に類を見ない山の描写だ。玉堂の山水図は小品の珠玉のような作品もあれば、この絵のような大作もある。玉堂は中国の古典に触れ、陰陽の合一が世界や生命の原理であるとする思想を重視していた。まるで生命そのものであるような山の姿が見る者を圧倒する。

◎能装束 紅白段桜花文摺箔 国重要文化財 -桃山時代-

 紅と白を交互に配置した大胆なデザインと金箔(きんぱく)で描かれた大ぶりな桜の花が、桃山時代らしいおおらかさを伝える。摺箔(すりはく)は表着の中に着るため舞台で見えるのは一部。見えないところにも宿る美意識が舞台を支えるのかもしれない。現存する摺箔の中でも名品中の名品だ。

◎能装束 斜段に石畳老松文縫箔 -江戸時代-

 紅、白、水色に斜めに染め分けた布の上から金と銀の箔を交互に石畳のように並べている。華やかな色合いに抑えの効果を与えているのは刺しゅうによる松の大樹。後ろで太い幹を生やし前に枝を広げる姿は、演者に着られることを計算している。染め、箔、縫の三つの技法が能装束の上で調和している。

【観覧ガイド】

▶会場=会津若松市・県立博物館

▶会期=12月4日まで(11月6日まで前期、11月8日から後期。前後期で展示替えをする)

▶時間=午前9時30分~午後5時

▶休館日=月曜日、11月24日

▶観覧料=一般・大学生1300円、高校生800円、中学生以下無料(11月6日まで高校生以下無料)

▶主催=名君の大名文化展実行委員会(県立博物館、福島民報社=創刊130周年記念事業=、福島テレビ)

▶問い合わせ=県立博物館 電話0242(28)6000