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【国際会議】県産品発信する機会に(12月17日)

2022.12.17 09:00

 政府主催で今月上旬に東京都で開かれた国際女性会議2022(WAW!)のレセプションで、県産食材を使った料理や地酒などが振る舞われた。県内企業が製造した産品も土産品として参加者に贈られた。政府は、今後も国際会議などの場でこうした取り組みを積み重ね、東京電力福島第1原発事故の風評払拭に努めるべきだ。

 レセプションは、国際女性会議の閉幕後に催された。福島牛をはじめ、福島産のヒラメやアナゴ、川俣シャモ、麓山高原豚、県内で採れた野菜や果物などを使った料理が並んだ。県産のワインや日本酒、炭酸水なども用意された。外務省の担当者によると、日本酒のテイスティングを楽しむ参加者の姿が数多く見られたという。

 主催者は東日本大震災と原発事故からの復興途上にある本県の食材をそろえたと紹介し、「生産者の心のこもった食材を堪能し、エールを送ってほしい」と呼びかけた。原発事故発生後の本県など日本産食品の輸入規制を巡っては、昨年9月に米国、今年6月に英国が撤廃したが、欧州連合(EU)、中国、韓国など12の国・地域が県産食品の輸入規制を続けている。県産食品に対する根強い懸念を解く上で、安全性の発信と実際に食してもらう取り組みは欠かせない。

 参加者への土産品として、三義漆器店(会津若松市)の植物由来プラスチックを原料にしたタンブラー、榮川酒造(磐梯町)の日本酒とウイスキー、アルファ電子(天栄村)が開発、製品化した米粉麺が採用された。いずれも今後、海外への輸出が期待され、ウイスキーについてはベトナムの大手企業から自社のスーパーで販売したい旨の引き合いが寄せられた。

 2021(令和3)年度の県産品輸出額は過去最高だった前年度に比べ52%増の13億7500万円で、初めて10億円を突破した。県産日本酒の知名度が米国を中心に高まり、アルコール類の輸出が大幅に伸びたのが要因だ。輸出の実績は風評がどの程度薄らいできているのかを把握する一つの指標となる。世界各国の要人が集まる国際会議は、日本酒に限らず、多くの県産品を海外に売り込むまたとない機会といえる。

 先進7カ国首脳会議(G7サミット)が来年5月、広島市で予定されている。政府は、着実に復興への歩みを進める本県の現状を各国首脳に伝えるのはもとより、県産品の安全性と魅力を紹介し、輸出の増加につなげる場も設けてほしい。(紺野正人)