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天下を射抜け!大波三兄弟 勝負の一年始動 三兄弟インタビュー

2023.01.01 13:16

 目標へ真っすぐに進む「三本の矢」。大相撲の大波三兄弟、三男の若隆景関は昨年の春場所で福島県出身力士として50年ぶりに優勝し、年間最多勝に輝いた。次男の若元春関は幕内に定着し、番付は若隆景関に迫る。長男若隆元さんも直近2場所で勝ち越した。兄弟同士しのぎを削り、さらなる高みを見据える。

■若隆景 積み重ねを大事に
■若元春 優勝と三賞が目標
■若隆元 上を目指し頑張る

 -若隆景関は昨年、全6場所で勝ち越し、57勝で年間最多勝を獲得した。技能賞も2回選ばれた。躍進の要因は。
 若隆景関 自分の相撲を取ろうと意識し続けたことが良かった。(技能賞受賞は)下からの相撲を評価してもらえたことをうれしく思う。
 -鋭いおっつけで圧倒する場面も増えた。取組で意識していることは。
 若隆景関 常に下から攻めるという意識だ。この形が自分の力を一番発揮できる。
 -若元春関は幕内での勝ち星数が4位と幕内で安定的な成績を残している。
 若元春関 秋場所、九州場所も2桁勝利したが、自分自身ができることをやり切っただけ。まだ一生懸命挑戦している「途中」の段階なので取組などの出来についてあまり言えないが、良い一年だったように思う。
 -初場所の活躍にも期待がかかる。
 若元春関 昨年の流れのままに勝ち星を重ね、優勝を目指したい。まだ達成できていないものへの挑戦という意味では三賞も目標に頑張りたい。
 -2場所連続で勝ち越している若隆元さんはどうか。
 若隆元さん 昨年一年は自分の相撲をもっと取れるようにしたかった。秋場所、九州場所は勝ち越したが、内容はあまり満足していない。立ち合いをもっと磨いていきたい。



 -若隆景関は春場所で初優勝し、若元春関は着実に番付を上げている。周囲の変化は。
 若隆景関 福島の人たちを含め、たくさんの連絡を頂いた。優勝前と比べて、ファンの方に声をかけてもらう回数もすごく増えた。たくさんの応援は自分の力になる。
 若元春関 初めて幕内に上がったことが一番大きな変化だった。福島の皆さんだけでなく、多くの相撲ファンに見てもらえるようになったと感じる。

 -若隆景関は優勝後、相手力士から研究されるなどマークが厳しくなったと思う。対応に違いを感じるか。
 若隆景関 相撲を取っている上ではあまり考えていない。相手がどうというよりも、下からの攻めをどんどん出していこうという意識が強い。自分の相撲に磨きをかける。

 -若元春関が意識していることは。
 若元春関 左四つからの攻めに安定感がある一方、まだ粗削りな部分がある。日々鍛え、もっと突き詰めていきたいと感じている。

 -兄弟の活躍は刺激になっているか。
 若隆元さん 弟2人が頑張っている。自分も一緒に活躍できるように鍛錬を重ねたい。
 若隆景関 稽古場から刺激し合って頑張れている。
 若元春関 兄弟がいなかったら相撲を続けていなかったので自分にとって大きな存在だ。2人がいたから今がある。

 -今年一年のそれぞれの目標を聞かせてほしい。
 若元春関 大きな目標を立てるのは苦手で、達成した時に終わりになってしまうし、達成を意識し過ぎるとプレッシャーにもなる。昨年と同じで一日一日自分の力をしっかり出し切りながら一年を乗り切り、結果として好成績につながればうれしい。
 若隆元さん 上を目指して頑張るだけだ。稽古場でできている相撲を土俵でも実践するのが目標だ。左まわしを取ってからの相撲を磨いていきたい。
 若隆景関 昨年は優勝を経験し、年間最多勝も獲得できた。それ以上の活躍ができるように、もっともっと稽古し、力を付けて場所に臨んでいきたい。毎日、自分の相撲を取り切ることに集中し、一日一番の積み重ねを大事にしていく。どんどん磨いて2023年も飛躍の年にしたい。


 -県民は大関昇進を期待している。
 若隆景関 土俵で一生懸命相撲を取って期待に応えていきたい。


 -古里からエールを送る県民にそれぞれメッセージを。
 若隆景関 今年も一生懸命相撲を取っていく。応援をよろしくお願いしたい。
 若元春関 今年も躍進できるように頑張るので引き続き応援をもらえればうれしい。
 若隆元さん 地元からの激励は大きな力になる。福島の皆さんから今年も応援をお願いしたい。


■「今年が頑張りどころ」 父政志さん、大波三兄弟見守る

 大波三兄弟の父で福島市の「ちゃんこ若葉山」店主の大波政志さん(55)=元幕下若信夫=は「3人それぞれが壁と向き合い、素晴らしい活躍を見せてくれた」と表情を緩ませた。昨年一年間、わが子の躍進を温かいまなざしで見守ってきた。「今年は頑張りどころになる。勝負の年にしてほしい」と期待を寄せた。
 春場所で初優勝を果たし、年間最多勝に輝いた三男の若隆景関について「本人の努力と家族の支えがあり、けがもなく闘えた」と振り返る。一年の取組を見て、優勝後に正面から攻める姿が増えたという。「強い相撲を目指しているのだろう。大関昇進へのプレッシャーもあったと思うが、経験を生かし突き進んでほしい」と願った。
 次男若元春関は名古屋場所を除く5場所で勝ち越した。体が一回り大きくなり、相撲に自信があふれ精神的に成長しているのを実感しているという。「左四つの形に持ち込めば負ける気はしないだろう。三兄弟の中で伸びしろは一番で、楽しみしかない」と今後の活躍に太鼓判を押した。
 幕下の長男若隆元さんに対しては「若隆景関の対応に追われた一年で、難しい部分もあったと思う」と理解を示した。取組自体は悪くないとし、「自分の相撲に集中してほしい」と思いを語った。
 多くの県民が大波三兄弟の一番に注目し、テレビの前で声援を送っている。政志さんは「夢に向かって頑張った結果、今の活躍がある。県内の小中学生も目標を持って稽古に励んでもらいたい」と新たな郷土力士の誕生に期待した。