2年連続18度目の夏の甲子園に出場する聖光学院は、第105回全国高校野球選手権記念福島大会の決勝で延長にもつれる接戦を制した。4強入りした昨年の甲子園をはじめ、大舞台での経験を生かし、追う展開が続いた苦しい試合で勝利をつかんだ。福島大会の軌跡をたどり、聖地で「4強の先」に進む鍵を探る。
決勝から一夜明けた26日、聖光学院ナインは伊達市の校舎で優勝報告会・壮行会に臨み、日本一に向けて決意を新たにした。主将の高中一樹は「仲間と一日でも長い夏にする」と力を込めた。
準決勝までは盤石だった。初戦から準決勝までいずれもコールド勝ちした。3回戦以外は全て2桁安打と、強打を印象づけた。
2021(令和3)年の福島大会準々決勝で光南に1―5で敗れて以降、県内では負けなしの王者。現チームは常勝の歴史を受け継ぐ重圧をはねのけ、連覇を果たした。
競った展開がない懸念がチーム内にはあった。大量点で圧勝した準決勝までとは一転し、決勝では初めて先制を許した。自慢の堅守にほころびが生じ、中盤まで毎回得点を許す展開に。斎藤智也監督は「先輩たちは劣勢を何度も覆してきた。踏ん張らなければ先輩を超えられない」とげきを飛ばした。高中ら昨夏の甲子園を経験したメンバーを中心に息を吹き返し、持ち前の粘り強い打撃を取り戻し、4点差を覆してのサヨナラ勝ちを果たした。
強打の一方、投手力には課題を残した。昨年の佐山未来さんのような「絶対的エースがいない」と指揮官が話す通り、5試合中、4試合で継投した。主戦安斎叶悟を含む4投手が役割を分担した。
ただ、25日の決勝では4投手をつぎ込んだが学法石川に13安打を許した。3番手で登板した安斎は「マウンドに立っている時は自分がエースの気持ちで投げる」と自分を鼓舞したが3回2/3を投げ4四死球5失点と振るわなかった。
47都道府県の代表校が集う甲子園は8月6日に開幕する。残り11日に迫る中、安斎は「残された時間で、持ち味の緩急をつけた投球を磨きたい」と向上を誓っている。