日本相撲協会の夏巡業・大相撲楢葉場所は4日、福島県楢葉町のならはスカイアリーナで開かれた。福島市出身の関脇若元春(29)=本名・大波港=らが迫力あるパフォーマンスを見せ、観客を沸かせた。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後、双葉郡で夏巡業が行われるのは初めて。
実行委員会の主催。約100人の力士による取り組みが注目を集めた。若元春は小結琴ノ若と対戦。ひときわ大きな歓声を浴びながら土俵に立つと、観客の前で白星を挙げた。
若元春は震災と原発事故で被害を受けた楢葉町で土俵に上がった心境について「当時は高校生で被害の大きさを実感していた。そういう場で巡業ができるのはうれしい」と語った。「自分の頑張る姿を見て、福島をはじめ被災地の人に何かを感じてもらえれば」と今後の活躍を誓った。
禁じ手を紹介する「初っ切り」や相撲甚句、櫓(やぐら)太鼓の実演などもあった。観客と触れ合う写真撮影も催され、訪れた約1800人の相撲ファンや町民らに笑顔が広がった。
夏巡業では5日、福島市の福島トヨタクラウンアリーナ(市国体記念体育館)で「大相撲福島場所」が開かれる。