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学法石川雪辱ならず 夏の高校野球福島大会 決勝

2024.07.29 16:00
【聖光学院―学法石川】1回表、2死満塁のピンチでマウンドに集まる学法石川の選手。手前左は佐藤翼
【聖光学院―学法石川】7回裏、学法石川1死二塁、大栄が左中間に適時二塁打を放ち塁上でガッツポーズ
7回裏に1点を返し、盛り上がる学法石川応援スタンド

 28日に福島市の県営あづま球場で行われた第106回全国高校野球選手権福島大会の決勝は、序盤に得点を重ねた聖光学院が学法石川を4―1で破り、3年連続19度目の頂点に立った。

 聖光学院は一回1死二塁、菊地政善の適時右前打で先制。さらに2死満塁から佐藤羅天(らま)の押し出し四球、青柳羽瑠の2点中前打で追加点を挙げた。先発の高野結羽は9回1失点の好投を見せた。

 学法石川は七回1死二塁、大栄利哉が左中間適時二塁打を放った。散発2安打に封じられ、反撃は1点にとどまった。先発佐藤翼は四回以降立ち直り、粘り強い投球を見せたが一回の4失点が響いた。


■「勢いに押された」 先発の佐藤翼 立ち上がりに制球乱す

 学法石川は1999(平成11)年以来、25年ぶりの夏の甲子園出場とはならなかった。先発の佐藤翼は「相手の勢いに押されてしまった。勝ちたかった」と肩を落とした。

 準決勝で101球を投じ、連投となった決勝の舞台。4試合で34得点と好調の聖光学院打線につかまった。立ち上がりの一回、変化球を見極められ、直球をはじき返された。この回だけで3四球を与え、傷口を広げた。「序盤を0に抑えて自分たちが流れをつくりたかった」と悔やんだ。四回以降はカーブを交えるなど緩急を付け、無得点に封じた。

 昨年は応援席から先輩の悔し涙を見ていた。決勝での再戦が決まり「今年は勝つ」と気合を入れて臨んだが、涙をのむ結果となってしまった。「3年生に助けてもらっていた。チームを引っ張り、秋の県大会をまず制す」と前を向いた。


■4番大栄、意地の一打 「全てで信頼される選手に」

 学法石川の4番大栄利哉が好投手相手に意地の適時二塁打を放った。「塁に出ることだけを考えた。応援が力になった」と感謝した。

 七回裏1死二塁。初めて得点圏に走者を置いて、打席が回ってきた。好機に応援スタンドが沸く。響く応援歌を口ずさみ、冷静さを保った。相手の外野手が右翼線寄りに守っているのに気付いた。真ん中高めの直球を捉え、左中間に運んだ。右手を突き上げ、雄たけびを上げた。

 春の選抜での苦い経験が不動の4番打者を一回り大きくした。大会直前に左足を痛めた影響で、九回に代打として出場。三邪飛と結果を残せなかった。春以降は坂道ダッシュやスクワットで下半身を鍛えた。長打力を磨き、準決勝までチーム最多の7打点を記録した。

 「3年生と少しでも長く野球がしたかった」と目を真っ赤にし、悔しさをにじませた。「攻撃も守備も全ての面で信頼される選手になる」。課題を得て球場を後にした。


■800人懸命に後押し 卒業生、保護者ら声枯らす

 学法石川の三塁側応援スタンドでは全校生徒や卒業生、保護者ら総勢800人が声を枯らした。

 七回に1点を返すとメガホンが大きな音を立てて躍った。八回に「甲子園の道」を歌い、懸命に戦うナインの背中を押した。

 前回大会決勝で4番を務めた大学1年の福田涼介さん(19)が球場を訪れ、後輩を見守った。「後半は相手と互角に渡り合っていた。来年の甲子園出場を目指して、日々の練習に打ち込んでほしい」とエールを送った。