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全国高校ラグビー福島県大会 聖光学院鋭い突破 学法福島を零封

2024.11.03 13:00
【聖光学院―学法福島】前半25分、聖光学院主将のCTB木村が独走してトライを決める
【聖光学院―学法福島】前半3分、聖光学院のSO越川(右)が先制トライを決め、仲間と喜びを分かち合う
【聖光学院―学法福島】前半、学法福島のSH引地が華麗なステップで相手選手をかわす

▽決勝 聖光学院 14-0 学法福島 (14-0、0-0)

 聖光学院が学法福島を無得点に抑えて完勝した。聖光学院は前半3分、ラインアウトから越川が抜け出し先制。同25分にも木村のトライで差をつけた。学法福島は伝統のモールで敵陣に押し込むが、守備に手を焼く間に反則を重ねて得点できなかった。


■聖光学院主将の木村会心 光る判断 作戦変更ピタリ 「空いたスペース見えた」

 聖光学院の判断力が光った。奪った2トライは事前の作戦とは異なる展開から。ともに相手守備の隙を突いた3年生の判断とランニングが生きた。2トライ目を決めた主将のCTB木村倭(やまと)=3年=は「相手の空いたスペースがうまく見えた」と手応えをつかんだ様子だ。

 決勝戦の天候は雨。ボールが手元で滑りやすく、パスをつなぐ展開ラグビーが強みの聖光学院には不利なコンディションだ。事前に佐藤忠洋監督が選手に伝えたのは、できるだけキックで陣地を稼ぐ作戦だった。

 ただ、選手たちはピッチでしっかりと状況を見ていた。先制トライは相手守備が間延びした瞬間にSO越川隆太(3年)が縦に突破。2トライ目も意表を突くサインプレーから木村が独走するなど、キックせずに持ち運んだ判断が得点につながった。

 昨年顧問に就いた元ラグビー日本代表の宇佐美和彦さんから相手選手とボール、そして味方の位置をよく観察することを教えられていた木村は「練習を重ねて判断力が養われた」と語る。ただ、「まだ細かいミスがあった」とし、花園までにさらにチームの完成度を高めていく。


■越川先制トライ ゴールキック2本成功

 先制トライで流れを生み、ゴールキック2本も成功させた聖光学院のSO越川隆太(3年)は「接戦になると思っていたので、しっかり決められて良かった」と安堵(あんど)した。準決勝ではゴールキックが決まらず、蹴り方や歩数、ルーティンなどを見直して決勝に臨んだ。初の花園に向けて「得点を取って1勝したい」と意欲をのぞかせた。


■学法福島 主将の引地士気上げる 守備修正、後半は無失点

 学法福島のSHで主将の引地巧真は劣勢の中、チームの士気を上げ続けたが、巻き返しを図れなかった。「1年間の集大成で全体の力を十分に発揮できず、悔いしか残っていない」とうつむいた。

 前半、得意なモールが不発に終わった。ハーフタイムに「焦らずに自分たちのモールをしていこう」と仲間に声をかけた。さらに、選手の守備位置を微調整するよう指示。守備の隙を解消し、攻撃の活性化を狙った。

 対策は功を奏し、後半は1点も追加点を許さなかった。しかし得点にはつなげられなかった。

 試合後、悔し涙を落とす後輩に、前を向くよう声を絞り出した。伝統のモールをさらに強化することを願った。

 引地は大学でもラグビーを続ける。「3年間で学んだ視野の広さを武器に全力で戦う」と活躍を誓った。